研究概要 |
従来の限られた3元系ホイスラー合金に合金設計の自由度を持たせるため、4元系ホイスラー合金等の強磁性合金の伝導電子のスピン分極率を点接触アンドレーフ反射法(PCAR)を用いて直接測定し、高い分極率を持つ強磁性合金の探索を行った結果、Co2Fe(Ge,Ga),Co2Fe(Si,Ge),Co2Mn(Ge,Sn)で高いスピン分極率が測定された。これらの材料で薄膜を作製し、強磁性共鳴(FMR)によりGilbertダンピング係数を測定した結果、L21構造を持つCo2Fe(Ge,GのはB2構造にくらべて低いダンピング係数を持つことが分かった。ホイスラー合金の磁気物性についてはデータが少ないので、今後これらの新材料のエピタキシャル膜を使って、結晶磁気異方性、ダンピング係数などを測定していく予定である。 また、これらのホイスラー合金のデバイス適合性を検討するために、探索されたホイスラー合金を強磁性層、AgをスペーサとしたCPP-GMR素子を作製し、Co2Fe(Ge,Ga)合金を用いたCPP-GMRで、室温42%,10Kで120%という、世界最高のMR値を測定した。またこのCPP-GMR素子の発振特性を測定したところ、CPP-GMRとしては最高出力の高周波発振を検出した。現在、このCPP-GMRのハードディスク用ヘッド応用の可能性を検討するとともに、この材料を用いた、非局所スピンバルブを試作し、次世代ヘッドへの応用の可能性も検討中である。
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