研究概要 |
従来の限られた3元系ホイスラー合金に合金設計の自由度を持たせるため、4元系ホイスラー合金等の強磁性合金の伝導電子のスピン分極率を点接触アンドレーフ反射法(PCAR)を用いて直接測定し、高い分極率を持つ強磁性合金の探索を行った。その結果、Co2Fe(Ge,Ga),Co2Mn(Ge,Ga),Co2Fe(Si,Ge)が高スピン分極強磁性材料として有望であることが判明した。これらの探索材料を電極として、AgをスペーサとしたCPP-GMR素子を作製し、素子における伝導電子のバルクならっびに界面でのスピン散乱非対称性を評価し、室温で高い磁気抵抗がえられるメカニズムを検討した。また高いMR比の得られたCPP-GMR素子について、発振特性を評価した結果、これらの新材料で大きなGHz帯の発信振幅が得られることが分かった。さらに高密度磁気記録用再生ヘッドへの応用の可能性を検討するために、ホイスラー合金層の反強磁性交換結合を利用した3層磁気抵抗素子を試作し、そのMR特性ならびにノイズ性能を評価し、これが狭ギャップ高密度再生ヘッドとして有望であることを示した。さらにCo2Fe(Ge,Ga)合金とAgを使った面内スピンバルブを試作し、トンネル障壁をつかわない低電気抵抗LSVとしては最も高いスピン信号が得られることを示した。
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