研究課題/領域番号 |
22246093
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90220194)
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研究分担者 |
杉山 澄雄 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (90242122)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 超軽量構造 / 金属薄板 / CFRP薄板 / 異材接合 / 成形性 / 構造最適化 / サンドイッチ成形 / 温間成形 |
研究概要 |
超軽量薄肉構造体は、輸送用機器・建築構造・熱交換デバイス等への幅広い適用でエネルギー利用効率向上など様々な利点が得られることから、その研究は社会的価値が高く、今後長期間にわたり意義を持ち続けると考えられる。構造体部材には高比強度材料が使用されるが、大きな弾性回復量や残留応力に伴う変形により、金型を除去した成形加工後に目的形状へ成形できない不良であるスプリングバックが著しく発生し、その解消は現在でも課題である。スプリングバックには温度依存性があり、鋼板の場合には500℃程度までの温間温度域が有効であるとされている。また高比強度材料は結果として延性が低く難加工であるため、温間加工等を利用することが有効である。 本研究の目的は、高比強度材料の高温精密スプリングバックフリー成形による、超軽量薄肉構造の実現であり、3年度目にあたる本年度は、昨年度(H23年度)に引き続き、(1)高比強度材料の高温成形による成形性の基礎データの取得、(2)長繊維強化複合材料(CFRP)薄板の新たな成形方案の検討、(3)成形性に優れたCFRP薄板を創製するための評価手法の検討、(4)超軽量構造体を実現するために必須のCFRP-金属接合技術の基礎検討、の4つの項目について研究を行った。これらの実験には、H23年度計画に従い導入した循環冷却装置と、フリーモーション制御による成形が可能なデジタルサーボプレスを活用した。 (1)としては冷間・温間V曲げ試験結果をまとめた。(2)では、熱硬化性エポキシを基材とするCFRP薄板の室温~100℃でV曲げ、絞り成形試験をおこなった。(3)については引張り曲げ試験の結果より室温~100℃での成形に最適なCFRP薄板の最適構造を探索する方法を示した。(4)については、金属とCFRP薄板の塑性変形を利用したハイブリッド接合について基礎的な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
金属系薄板については当初の計画通に研究を進め、結果のデータベースまとめを完了した。CFRP薄板の成形については、構造の最適化に着手し、さらに接着剤と塑性変形を組み合わせたバイブリッド接合が有効な手法になり得ることを世界で初めて示した。
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今後の研究の推進方策 |
H25年度には、研究計画調書に記載してある通り、以下の二つの課題について研究を進める。 ①成形性が優れた連続長繊維複合材料薄板(CFRP)の開発と成形性の評価。 ②CFRP薄板と金属薄板のレーザーろう付け(Brazing)手法の研究。 今まで通り、成果を権利化しまた公表していく予定にしている。さらに進捗状況によっては、研究を加速し科学研究費・基盤研究(S)への申請を検討する。
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