研究課題/領域番号 |
22246099
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奥山 喜久夫 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (00101197)
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研究分担者 |
荻 崇 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (30508809)
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キーワード | ナノ粒子 / 噴霧熱分解法 / 噴霧乾燥法 / 火炎法 / 機能性ナノ材料 / ナノ粒子構造体 / ビーズミル / 分散 |
研究概要 |
本年度は、減圧場および火炎場において、ナノ粒子材料の合成を行うと共に、二軸の媒体撹拌型ビーズミルを用いてナノ粒子分散溶液の作製を実施した。また、噴霧乾燥法によりナノ粒子凝集および多孔質構造微粒子を製造し、ナノ粒子材料としての機能を評価した。具体的な内容を以下に記す。 (1)火炎型噴霧熱分解によるナノ粒子の製造装置を用いて、可視光応答型の光触媒ナノ粒子(Pt/WO_3)および電池材料である複合酸化物などのナノ粒子を合成した。合成したナノ粒子は、ソーラーシミュレーター下で光触媒機能を評価した。また減圧場噴霧熱分解装置により、球状の酸窒化物蛍光体(BCNO)粒子の合成を行い、発光量子効率など特性を評価した。(2)二軸の媒体撹拌型ビーズミル分散装置を用いて微小ビーズと低撹拌条件下で高屈折率材料(TiO_2)、高熱伝導性材料(BN)などの機能性ナノ粒子分散溶液を作製し、粒子分散状態、分散剤との相互作用、透過率などを評価した。また、ナノ粒子が高度に分散すると淡黄色を帯びる現象があり、この淡黄色化現象を(i)ナノ粒子の粒子径に依存したRayleigh散乱、(ii)ナノ粒子表面のバンド準位の変化、および(iii)分散剤の反応に着目して解析を行い、無色透明な分散液の作製に成功した。(3)シリカ、カーボン、窒化チタンナノ粒子を噴霧乾燥させて球状凝集粒子を製造した。また出発原料中にポリマー粒子を添加することで、無機・有機コンポジット粒子を合成し、あとで加熱することにより、多孔質構造を持つ微粒子の合成を行った。混合するポリマー粒子を研究室で合成することで、正負に帯電されたポリマー粒子の使用が可能になり、これにより凝集粒子の構造を多孔質から中空構造へ変化させて合成した。合成された粒子は比表面積計により測定した。合成した粒子は、白金などを担持し燃料電池などの電極触媒としての性能を評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、1)火炎場、減圧場における噴霧熱分解法でナノ粒子の合成を行うと共に、それらのナノ粒子が材料として性能を発揮した点、2)二軸の媒体撹拌型ビーズミル分散装置の立ち上げおよび無色透明なナノ粒子分散液を作製できた点、3)噴霧乾燥法で構造が制御されたナノ粒子構造体を作製し、機能性材料として性能を評価できた点で当初の計画通り、おおむね順調に研究が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に続き火炎場、減圧場での噴霧熱分解法を用いて、蛍光体材料、伝導性材料、光学材料、電極材料、熱伝導材料、リチウム電池材料などのナノ粒子材料を合成する。このとき、これら各種のナノ粒子材料を操作条件を変化させて合成し、サイズ、結晶構造が材料特性に及ぼす影響を詳細に調査する。特にナノ粒子のサイズを100ナノメートル以下で種々に変えて合成し、ナノ粒子の物性、凝集状態を電子顕微鏡で評価する。噴霧により発生した液滴のサイズ分布をレーザ回折型の粒径分布解析装置で計測し、さらにエアロゾルの計測装置により生成されるナノ粒子のサイズ分布を同時に計測する。また、本年度からは、減圧型噴霧熱分解法、噴霧乾燥法による粒子合成装置において、ナノ粒子の表面をシリカなどの無機物質でコーティングする表面修飾法について検討する。
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