研究課題/領域番号 |
22246099
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
奥山 喜久夫 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00101197)
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研究分担者 |
荻 崇 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30508809)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ナノ粒子 / 噴霧熱分解法 / 噴霧乾燥法 / 火炎法 / 機能性ナノ材料 / ナノ粒子構造体 / ビーズミル / 分散 |
研究概要 |
以下に本年度における研究項目とその成果について示す。 (1)火炎場での噴霧熱分解装置によるナノ粒子材料の合成:火炎場での噴霧熱分解装置にて、白金担持酸化タングステン、銅担持酸化タングステン、リチウムマンガンニッケル酸化物のナノ粒子を合成に成功し、操作条件が生成粒子に与える影響を評価した。白金担持酸化タングステンについては、白金の添加量が有機物の分解における触媒特性に及ぼす影響について評価を行い、酸化タングステンの構造中に白金をドープすることで、非常に少ない白金担持量で高い触媒性能を示すことを明らかにした。 (2)噴霧乾燥法によるナノ粒子構造体の作製と性能評価:噴霧乾燥法、含浸法、液相還元法を用いて、燃料電池触媒材料である白金担持窒化チタン、白金担持カーボンや蛍光体材料である複合酸化物系(Y3Al5O12:Ce)および酸窒化物系(BCNO)の合成を行った。出発液にはナノ粒子ゾルを用い、構造体のポーラス、中空化のために必要に応じてポリマー粒子を添加し、本年度は、このポリマー粒子自身も研究室で合成した。これにより粒子径や表面状態をより厳密に制御でき、構造体の形態を制御することが可能となった。 (3)二軸の媒体撹拌型ビーズミルを用いたナノ粒子の分散:二軸の媒体撹拌型ビーズミル分散装置および全長セパレータ型ビーズミル装置において、8nmの微小ビーズを用いて酸化チタンナノ粒子および窒化ホウ素の分散実験を行い、それらの表面状態が分散特性に及ぼす影響について、ゼータ電位、粒度分布測定、FTIR、電子顕微鏡により評価を行うことで、水系、溶剤系で高度に分散されたナノ粒子分散液の作製に成功した。また、表面の一部を窒化した酸化チタンナノ粒子を合成して分散実験を行うことで、無色透明な分散液の作製に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、1)火炎場における噴霧熱分解法でナノ粒子の合成を行うと共に、それらのナノ粒子が材料として、高い性能を発揮した点、2)二軸の媒体撹拌型ビーズミル分散装置によって無色透明なナノ粒子分散液を作製できた点、3)噴霧乾燥法で構造が制御されたナノ粒子構造体を作製し、燃料電池材料、光触媒として性能を評価できた点で当初の計画通り、おおむね順調に研究が進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、以下に示す研究項目について実施する。これらの研究には、研究代表者および分担者以外に、研究協力者1名、ポスドク2名、ドクター3名、博士課程前期学生2名で分担して取りくんでいく予定である。具体的な推進方策は以下に示す。 (1)火炎型および電気炉型噴霧熱分解法によるナノ粒子材料の合成:高純度、高結晶性のナノ粒子を合成できる火炎型噴霧熱分解装置および電気炉型噴霧熱分解装置を用いて酸化タングステンナノ粒子、酸化タングステン酸化チタンコンポジットナノ粒子、カーボンナノ粒子、リチウムマンガンニッケル酸化物のナノ粒子を合成し、操作条件が結晶性、粒子径、比表面積などへ及ぼす影響を定量的に評価し、光触媒特性、電池特性との相関性を明らかにする。 (2)液相法によるナノ粒子材料の合成:連続的に均一なサイズのナノ粒子が合成できる液相沈殿法およびゾルゲル法を用いて、コアシェル構造、中空構造、メソポーラス構造を持つフッ化物ナノ粒子、シリカナノ粒子、鉄系ナノ粒子の合成を行う。 (3)二軸の媒体撹拌型ビーズミルを用いる各種機能性ナノ粒子の分散およびナノ粒子の直接合成:二軸の媒体撹拌型ビーズミル分散装置および全長セパレータ型ビーズミル装置を用いて、(1)および(2)で合成したナノ粒子分散液の作製を行う。特に本年度は、ビーズサイズおよび回転数を最小限に抑えた操作条件でビーズミル分散を行い、可能な限り材料の結晶性を維持した分散法の開発を目指す。 (4)噴霧乾燥法によるナノ粒子構造体の合成と特性評価:(3)で作製したビーズミル分散液を出発溶液として噴霧乾燥法によりナノ粒子の構造体を合成し性能を評価する。具体的には、白金担持カーボンナノ粒子ポーラス構造体の合成と電極触媒性能、シリカ/鉄ナノコンポジット材料と磁性特性、酸化タングステンのポーラス構造化と光触媒評価を行う。
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