研究課題/領域番号 |
22246110
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
大塚 耕司 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (90213769)
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研究分担者 |
石井 孝定 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 教授 (70508796)
中谷 直樹 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (30326277)
新井 励 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (60508381)
矢持 進 大阪市立大学, 工学研究科, 教授 (30315973)
日下部 敬之 大阪府立環境農林水産総合研究所, 水産研究部, 主任研究員 (10503930)
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キーワード | 海産バイオマス / メタン発酵 / 水質モニタリング / 藻類培養 / 有用物質抽出 / 環境影響評価 / 実現可能性評価 |
研究概要 |
本研究では、大阪湾奥部の堺浜前面に位置する北泊地をモデル海域とし、底層の貧酸素化が著しく「死の海」と化している同海域の環境再生を目的とした、緑藻類の大量培養と有用物質の抽出、周辺海域も含めて大量発生が報告されている他の海産バイオマスとの混合処理(メタン発酵および残渣の堆肥化)プラントの開発を行い、それらの知見を集約することによって事業規模の全体システムを設計するとともに、システムの導入による環境再生効果・低炭素効果を明らかにすることを目的としている。 平成23年度では、以下の研究を実施した。 1)北泊地における水質の現況を把握するため、平成22年度と同様に、春季、夏季、秋季、冬季の計4回、栄養塩連続計測を含む水質・底質の調査を行うとともに、北泊地に流出入する水塊の動態を把握するためのADCP(ドップラー流速計)による流動計測を行った。 2)シャープ(株)の堺浜工場敷地内にあるエコロジー研究所において、アオサ、アオノリ、シオグサ、ミル、フダラクの培養実験を行い、大量培養にはアオノリあるいはシオグサが適していることを示すとともに、ミルおよびフダラクからの有用物質抽出技術を開発した。また、野外におけるアオノリの大量培養実験装置の設計を行った。 3)海藻、漁業廃棄物、食品廃棄物の3種類のバイオマスを用いた中温湿式メタン発酵実験を行い、それぞれの発酵特性と混合処理の可能性について検討した。また、セルロースを用いた乾式高温メタン発酵実験を行い、次年度に行う各種バイオマスの乾式高温メタン発酵実験の課題抽出を行った。 4)平成22年度に引き続き、人工干潟に発生するアオサのバイオマス量ならびに小型底びき網漁で発生する廃棄バイオマス量の推定を行うとともに、北泊地内で想定される藻類大量培養によって得られるバイオマス量を推定した。さらに、海陸一体型バイオマス利用システムのエクセルギーを指標とした評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、1)北泊地水質モニタリング、2)藻類大量培養および有用物質抽出、3)バイオマス処理プラント技術開発、4)全体システム設計およびその評価、のサブテーマがあるが、このうち1)については、当初計画より前倒しして水質連続モニタリングを行っている。また2)についても藻類からの有用物質抽出については当初計画より前倒しして抽出技術を開発した。しかし、3)については、交付金額が予算案の30%減額されたことに伴い、小規模プラントの設置を断念した。また、4)については基礎データの取得に時間がかかり、システム初期設計がまだ行えていない。これらを総合的に判断し、達成度を(2)とした。
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今後の研究の推進方策 |
環境影響評価ならびに実現可能性評価を行う際に必要な、バイオマスプラントの初期設計がまだ行えていないことが現在の主な課題である。今年度は早い段階で初期設計を行い、各種評価の精度を上げる必要があると考えている。なお、藻類大量培養実験装置が完成間近であり、本年度早々から本格的な現地実験が始められる段階となっている。
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