研究課題/領域番号 |
22246112
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研究機関 | 独立行政法人海上技術安全研究所 |
研究代表者 |
川島 英幹 独立行政法人海上技術安全研究所, 流体設計系, 主任研究員 (20450679)
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研究分担者 |
川口 靖夫 東京理科大学, 理工学部, 教授 (20356835)
辻 義之 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (00252255)
岩本 薫 東京農工大学, 工学研究科, 准教授 (50408712)
堀 利文 独立行政法人海上技術安全研究所, 流体設計系, 主任研究員 (50505104)
牧野 雅彦 独立行政法人海上技術安全研究所, 流体設計系, 主任研究員 (90415795)
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キーワード | 乱流摩擦抵抗 / 幾何学的粗度 / 水槽試験 / DNS / 二重円筒試験 / 流場計測 |
研究概要 |
物体表面粗度が流体摩擦抵抗へ与える影響は、主に粗度高さを用いて評価されてきた。本研究の目的は、粗度高さのみでなく、粗度の勾配、周期等の他の粗度パラメータによる影響を解明し、粗度と摩擦抵抗の関係について、より実現象に即した一般的な法則を導き出すことである。また、粗度の各パラメータが乱流境界層の発達に影響を与えるメカニズムを解明することも目的としている。そのため、モデル粗面の製作法の開発、モデル粗面を対象とした系統的な抵抗計測、流場計測及び数値シミュレーションを実施することとなっている。それに従い、本年度は以下を実施した。 2次元の正弦波状の粗面を対象として、粗度高は一定のまま、周期と両振幅の比(粗度の幅高さ比に相当)を変化させ、DNS計算を行った。その結果、粗度によるいわゆる摩擦抵抗増加は、勇断力成分の変化と圧力抵抗成分の変化の総和で評価でき、幅高さ比が10程度以上であれば、剪断力成分はほとんど変化せず、圧力抵抗成分の変化が、摩擦抵抗の変化を支配していることが判った。また粗度の間隔を変えた2次元幾何形状粗面を対象とした二重円筒試験、水槽試験の結果から、粗度間隔が変わると、粗度間の干渉が変化し、各粗度にかかる抵抗が変化するため、全抵抗に大きな影響を与えることが判った。そこで、2次元幾何形状粗度について、粗度形状の幅高さ比が10程度以上を適用範囲とする、粗度の高さ、幅高さ比、間隔をパラメータとした抵抗増加を推測するための式を仮定した。粗度の幅高さ比、間隔を変化させた2次元幾何形状粗度板を製作し、水槽試験を行った結果、粗度による抵抗増加量は、良い一致を見た。さらに二重円筒、風洞において、2次元幾何形状粗度まわりの流場計測を行い、粗度が流場に与える影響について調査し、メカニズム解明の基礎データを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
DNSによるシミュレーション、2次元の幾何形状周期粗度を対象とした水槽試験及び2重円筒試験、粗度周りの流場計測から、2次元幾何形状周期粗度が流体摩擦抵抗に与える影響については、支配パラメータ、メカニズム等が、かなり解明できており、定式化の道筋もついてきた。
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今後の研究の推進方策 |
2次元粗度と流体摩擦抵抗の関係については、かなりの情報を得ることができ、定式化も進めることができた。今後は、引き続き2次元粗度と流体摩擦抵抗の関係について調査を進めると共に、3次元粗度での粗度と摩擦抵抗の関係の調査し、粗度パラメータの流体摩擦抵抗への影響を調査する。
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