研究分担者 |
川崎 了 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (00304022)
坂口 清敏 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 准教授 (50261590)
広吉 直樹 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (50250486)
伊藤 真由美 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (10339690)
原田 周作 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (80315168)
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研究概要 |
岩石の亀裂自己修復機能に関する基礎的検討を実施し,以下の成果を得た。 (1)前年度に制作した岩石のサブクリティカル亀裂進展特性,特に超低速領域における亀裂進展速度と応力拡大係数との関係を計測するための実験装置を用いてDT試験を実施した。開発した装置を用いると1ヶ月程度の実験期間で超低速領域の亀裂進展挙動計測が実現できることが確かめられた。 (2)水中環境下における岩質材料試料の亀裂修復挙動を分析した。マイクロフォーカスX線CTによる経時観察の結果から析出部を抽出する3次元差画像処理法を開発するとともに,本手法を用いて亀裂内鉱物析出の3次元分布と経時変化を明らかにした。そして,鉱物析出は亀裂開口部に顕著であることを明らかにした。さらに,同じ試験片を切断してSEM用試料を作成し,SEM/EDX解析により析出鉱物の同定を行った。そして,亀裂開口部近くでは炭酸カルシウムが主体であるが,亀裂内部ではMg鉱物が析出することを明らかにした。また,これら亀裂の修復速度は人工海水環境下が模擬降水系地下水環境下よりも顕著であることを確かめ,これが重炭酸イオン濃度に起因することを明らかにした。 (3)自然界における岩石の自己修復機能を調査するために,沖縄県,石川県において,携行型蛍光X線成分分析計によりビーチロック表面の元素分析を行い,表面析出鉱物の組成分析を実施した。そして,沖縄サイトはカルシウム,石川サイトはアルミニウムを主体とすることから,生成メカニズムも異なることを明らかにした。 (4)3次元亀裂進展解析の第一段階として,軸対象問題に対する破壊プロセス解析コードを開発した。また,本手法による解析の結果,装薬孔孔底からの円錐状亀裂進展を理論的に説明することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
亀裂の自己修復に関してはX-CTによる3次元画像処理法の開発と適用,さらにSEM/EDXによる定量分析により,当初計画以上の成果が得られた。DT試験による超低速亀裂進展挙動計測は継続中であるが,亀裂進展限界は現時点では発見されていない。また,3次元亀裂進展解析は当初計画通り順調に進行している。以上から,一部計画以上の進展はあるが,全体としては概ね順調に進展していると自己評価する。
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