研究課題/領域番号 |
22246119
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小野 靖 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (30214191)
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研究分担者 |
井 通暁 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 准教授 (00324799)
山田 琢磨 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (90437773)
榊田 創 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 研究グループ長 (90357088)
清水 敏文 独立行政法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究本部, 准教授 (60311180)
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キーワード | ベータ限界 / プラズマ合体 / 中性粒子ビーム / 球状トカマク / 磁場反転配位 / 磁気リコネクション / プラズマ加熱 / 圧力駆動型不安定 |
研究概要 |
本年度は、UTSTのトーラス・ソレノイドコイルの容量・機械強度をアップし、EFコイルも大容量化を完了し、2台のNBIと運用を開始し、TS-4でも超高ベータ球状トカマク実験用に短パルスワッシャーガン型NBIの高出力・短パルス化を進め、0.7MW,15kV,100μsecの高出力を実現し、NBI実験を本格化させた。際だった効果は、低エネルギー・大出力NBIのTS-4で大きく現れ、合体加熱後の高ベータ球状トカマクSTおよび磁場反転配位FRCで10%-30%の磁気・熱エネルギー増加と配位維持効果が認められた。NBIの有無のデータを比較すると磁気・熱エネルギー上昇はNBIのビームパワーを大きく上回っており、加熱だけでなく、NBI由来の高エネルギーイオンが高ベータ平衡の安定性を向上させることがわかってきた。合体・リコネクション加熱の最適化により、STを容易に絶対極小磁場配に変換できるようになったことも大きな進展である。この配位はバルーニングモードに対する安定解析を行うと第2安定状態にあることがわかってきた。以上の高ベータSTの合体加熱と絶対極小磁場配位の形成、FRCのNBI実験の成果はそれぞれFusionEnergyConference2012の日本側論文に選ばれている。また、目玉であるイオン温度、電子温度、磁場の2次元計測も開発を終了して運用を始め、STの合体・リコネクション加熱を画像計測した結果、リコネクション下流でアウトフローがファーストショックを形成してイオンを加熱し、電流シートのオーム加熱が電子を加熱することが明らかになった。この成果はPhysicalReviewLetters誌に掲載された他、超高ベータSTの合体生成の成果と共にEuropeanPhysicalSociety2012年会の基調講演に選ばれている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究分担者や協力者からのNBI設備の協力やトムソン散乱計測設備への協力により、NBI装置は合計3台増え、温度計測点も同様の協力によって高精細化され、それらがPhysical Review Letters論文やFusion Energy Conference 2012論文もEuropean Physical Society 2012の基調講演などの成果につながっており、当初計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
NBI設備やトムソン散乱計測設備への協力によって大幅に設備が拡充されたが、設備拡充がそのまま成果につながったところと、TS-4,UTSTに適合させるために計画に変更を加えなければならないところがでている。前者は既にいくつかの論文にもなり、そのまま物理解明を前進させる予定である。後者は問題を迅速に解決しつつ、拡充された設備をTS-4,UTST実験に適合させ、成果につなげる努力を継続する予定である。
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