研究課題
照射脆化や再結晶脆化の少ないTicを1.1%含む微結晶粒タングステンについて、1923~2273Kで超組成を利用した高靱性化処理を行なったところ、TiCが粒界に析出し、靱性が大幅に改善された。またこのタングステンは室温でも延性を示し、低温脆性が改善されることも明らかになった。この材料の大型化やさらなる特性改善を図るため、超高温低速・荷重制御熱間圧延装置の設計を行ない、容器及び負荷制御部の製作を行なった。さらに、高温高強度の圧縮装置を用いた材料製作法の開発について、予備的な実験を行なった。純タングステン材料に、低速イオン注入を行なった材料や、高エネルギーイオンで損傷を与えた材料について、ナノインデンターで硬度を測定し、イオン照射により硬化することが分かった。パルス熱負荷とプラズマの同時照射がタングステンに与える影響を評価するための装置を開発し、予備的な実験を行なった。ヘリウムプラズマと、レーザーによるパルス熱負荷を同時に照射することで、表面の粗面化が促進されるが、大きなクラックの発生が抑制される可能性があることが分かった。これらの結果は、プラズマイオン照射による表面の機械的特性の変化が、タングステンの内部の亀裂進展に影響を与えることを示唆している。今後は、照射条件やタングステン材料を変えて(微結晶粒タングステンやタングステン合金)、より詳細な研究を進める。陽電子消滅法によるタングステンの欠陥同定研究では、大阪大学産業科学研究所の線型電子加速器を用いた陽電子ビーム装置を整備し、陽電子ビーム生成の準備を行なった。来年度に陽電子ビームをタングステンに照射して、対消滅で発生するγ線スペクトル測定を行ない、欠陥の特性を調べる実験を始める。
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