高強度レーザーからそれによって生成する高速電子のエネルギーを見積もるために、大阪大学エネルギー学研究センターのLFEXレーザーを用い、米国加州サンディエゴ大と共同研究を行った。銅ワイヤーの付きのコーンターゲットを用いて、高速電子の衝突によって生成する銅の特性X線イメージを計測した結果、変換効率は他のレーザー装置に比べ比較的高いことが分かり、この装置の優位性を示すことに成功した。さらにインド・タタ基礎科学研究所の短パルスレーザー装置を用い、G.R.Kumar教授との共同研究として高速電子が誘電体中で放出するチェレンコフ発光を計測した。異なる2種類のターゲット材質を用いることで、高速電子流の放出分布及び変換効率を計測することに成功し、高速電子流がターゲット中を収束しながら伝搬する事を示した。また同時にフォームターゲットを用いた光自己収束実験をフランス・エコールポリテクの高強度レーザー施設に提案し、審査の上来年度実施する実験として受理された。それに伴いH23年1月にフランスを訪問し共同で実験に参加して頂く同研究所のBaton教授と実験に関する詳細な打ち合わせを行い、ターゲットの作成などを分担することを同意した。さらに核融合科学研究所の坂上教授、摂南大の田口教授と共同で、高速電子によるプラズマ加熱を模擬するシミュレーションコードの開発を行うためPCクラスタを購入し、予備的なコードを開発することに成功した。
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