研究課題/領域番号 |
22246128
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
古澤 孝弘 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (20251374)
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研究分担者 |
楊 金峰 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (90362631)
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キーワード | 放射線、X線、粒子線 / 半導体超微細化 / シミュレーション工学 / 計算物理 |
研究概要 |
半導体量産ラインでは、集束性の高い高品質のエネルギーである量子ビームと低質・安価な熱エネルギーを組み合わせることにより、高解像度かつ高感度な加工が実現されてきた。しかし、次世代の16m以下の加工では、通常の手法により高解像かつ高感度加工は困難であり、反応場の制御が不可欠になると考えられる。本研究では電子線、レーザー、極端紫外光(EUV)、X線等の量子ビームを加工手段かつ分析手段として最大限活用することにより、量子ビームをトリガーとして開始され、16m以下の領域において完結させる必要がある化学反応および反応場の詳細を解明することを目的とする。 平成23年度は、ポリ(4-ヒドロキシスチレン)及びその誘導体の高分子薄膜に電子補足剤を添加し、熱化電子と溶質の反応をフェムト秒パルスラジオリシスにより調べた。また、EUVFELを光源とした過渡分光システムを構築し、EUV誘起反応の測定を行った。両者の比較により電子-イオンペア分布を明らかにした。また、新規シミュレーションコードの精度に対応するため、微細形状測定装置を導入し、プラズマEUV光源における測定精度を高精度化した。X線反射率測定で得られたレジスト薄膜内の分子分布を考慮した酸触媒過程のシミュレーションを可能とした。さらに、加工実験を実施し、反応場を考慮したシミュレーションコードの妥当性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験で得られた知見をシミュレーションコードに反映し、16nm以下の領域における化学反応および反応場の正確な議論が可能になっており、順調に計画が進行している。このまま研究を継続することにより、最終年度に目的が達成されると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、(1)ポリ(4-ヒドロキシスチレン)及びその誘導体の高分子薄膜に電子補足剤を添加し、熱化電子と溶質の反応をフェムト秒パルスラジオリシスにより調べる。(2)EUVF肌を光源とした過渡分光システムを構築し、EUV誘起反応の測定を行う。プラズマEUV光源を用い、生成物分析を行う。(1)及び(2)の実験において、高分子にハロゲン等のヘテロ原子を導入し、電子-イオンペア分布制御、及び電子の熱化距離の制御の可能性を調べる。(3)Spring-8を利用したX線反射率測定により得られた実験結果を解析することにより反応場の影響を明らかにする。(4)電子線・EUVによる加工実験を行いシミュレーションとの比較を行う。(5)(4)の結果をもとに、反応場を考慮したシミュレーションコードの妥当性を検証する。(4)及び(5)を随時実施し、反応及び反応場の詳細を解明する。これらの結果を下に、研究の総括を行い、ナノ空間内での放射線誘起反応を系統立ててまとめ、将来の量子ビーム利用のための学術的基盤を確立する。
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