研究課題/領域番号 |
22246129
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
福田 武司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50354585)
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研究分担者 |
堀池 寛 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20252611)
高田 孝 大阪大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40423206)
鈴木 幸子 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20403157)
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キーワード | 高速増殖炉 / 液体ナトリウム冷却材 / ハイブリッド熱流動解析 / 真空紫外(極紫外)レーザー分光 / 粒子画像測度計測法 / 密度汎関数法第一原理計算 / ハルトマン流れ / フーリエ空間エネルギー輸送 |
研究概要 |
将来のエネルギー源として高速炉の開発は必須の要件であり、冷却材として想定されている液体ナトリウムの熱流動に関する研究は、最重要項目であると認識されている。而るに大規模な数値計算による解析が現在の主流であり、信頼性の向上を図るには実験的な検証を組み合わせた所謂ハイブリッド流動解析が必要不可欠である。本研究では、ナトリウム流動場の計測に関わる要素技術の高度化を目指した基礎研究として(1)多層膜型分光フィルターと2次元検出器を組み合わせた速度場画像計測を実施した。液体ナトリウムの厚みは20-25mmである。前年度の結果に基づき、追跡元素の誘導放出蛍光波長(132nm近辺)を鑑みて観測窓材料を短波長(極紫外)側における分光透過率が高いMgF_2に変更すると共に、大規模渦計算による試験条件の最適化を併せて事前に行った。しかしながら、米国で試作した分光フィルターの帯域が比較的広く透過率が40-45%であったことから信号強度が低い(観測面積が広い)場合には明瞭な画像を得られなかった。この結果を受け(2)トロイダル形状を持つ回折格子型2次元イメージング分光計測装置の開発に着手した。加えて(3)近年の温度成層化に関する活発な研究を鑑みた温度計測手法の検討と予備試験を実施した。その結果、レーザー励起超音波の伝搬時間に液体ナトリウムの明瞭な温度依存性を確認したが、黒体輻射を仮定したサイクロトロン波計測に関しては-85dBm以上の有意な信号を観測することが出来なかったので、増幅度の高い(ホーン型)アンテナを用いたヘテロダイン検波に切り替えた実験を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多層膜型分光フィルターと2次元検出器を組み合わせた速度場画像計測で適切な分解能が得られなかったことから年度途中で回折格子型2次元イメージング分光に切り替えた。その過程で、試行錯誤的に2度にわたる光学設計の変更を実施したことが主な要因である。また、構成部品の9割が輸入品(主に米国・フランス製)であることから試験準備に2-3箇月の時間を費やした。さらに、英国製の2次元計測器(DH734i-18F-05型iccD)が故障し、撮像素子と増幅器の交換に約4箇月を要したため、実験研究が中断した。既に了解している事項とは云え、革新的な研究開発を支える基盤要素技術(生産規模の小さい高価な特殊先端機器)の多くが国外(欧米)にあり、不具合が発生する度に往復の輸送期間を含め数ヶ月の単位で時間を失う事実は、今後ともに問題として残ることが懸念される。
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今後の研究の推進方策 |
基本となる基盤技術開発の推進方策に変更はないが、実用規模を展望するには当該波長領域における光源強度の増大が必須の課題となる。本研究で用いている2次元計測器(DH734i-18F-05型iccD)が光電子増倍管と同等以上の感度を持つことは検証済であり、現状で大幅な性能の向上は見込めない。既に共同研究を進めている宮崎大学の佐々木他が開発した誘電体バリア放電によるArプラズマ定常光源(波長126nm・光源強度:5mW/cm_2・10kVインバータ電源使用)が有望な選択肢になると考えられる。
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