研究課題/領域番号 |
22246130
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
奥野 喜裕 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (10194507)
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研究分担者 |
村上 朝之 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (20323818)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | MHD発電 / エネルギー変換 / 電力発生 / 太陽エネルギー / プラズマ / 電磁流体 / 高温希ガス / シード剤フリー |
研究概要 |
平成22年度(初年度),23年度,24年度の3年間の研究成果から,本研究は当初の計画通り順調に進展しており,リニア形状ファラデー型発電機を用いた衝撃波管駆動高温希ガスプラズマMHD発電実証実験において,希ガス(アルゴン)入口全温度~9,000K,圧力~0.105MPa, 磁束密度 4T の下で,MHD発電機の電圧-電流特性を明らかにし,最大発電出力16.7kW,エンタルピー抽出率12.9%,出力密度235MW/m3(4番電極領域)を達成し,先導研究で実績のあるディスク形状発電機に匹敵し,かつ従前のシードプラズマ発電機と同等以上の発電性能を有することを世界で初めて定量的に実証した。特に本年度は,性能評価を取りまとめることを念頭に研究を推進し,発電機入口での作動気体の温度,圧力条件の影響について詳細に調べ,入口温度の増加に伴うエンタルピー抽出率の向上を,また圧力の増加による発電出力の増加(一定のエンタルピー率を維持)を確認した。更に高速度カメラによる発電機内プラズマの観測から,入口温度の増加によるエンタルピー抽出率の向上は,プラズマが一様かつ安定化することに起因することを初めて明らかにした。また,当初の予定通り,レーザー駆動を模擬したパルス放電による高温希ガスプラズマMHD発電実証試験に着手し,作動気体となる希ガスの加熱特性や発電流路内の高速流体挙動,ならびに希ガスプラズマ挙動と発電特性に関する基礎物理現象の把握に努め,出力の絶対値そのものはまだ低いものの,同方式としては初めて発電出力を得ることに成功した。この成果は,その先にあるレーザー駆動MHD発電方式の可能性を確実にするもので,本研究課題の後段への基盤を確立したといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究実績は「研究実績の概要」で述べたとおりであり,本研究の本質であるクリーンMHD発電(エネルギー源はもちろんのこと,作動気体を希ガスとし,従来型のアルカリ金属等のシード剤を一切不要とする)の実現可能性とその高性能化を世界に先駆けて実証できる段階に至っており,また当初の計画通り,次の研究ステップとなるレーザー駆動を模擬したパルス熱源駆動温希ガスMHD発電実証試験に着手し,絶対値そのものはまだ低いものの発電出力を初めて実証するなど,当初の計画通り進捗しており,研究全体の目的達成に向けて「おおむね順調に進展している」と判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は当初の計画通り順調に進展しており,来年度はこれまでの成果(「研究実績の概要」)を受けて, 1)高温希ガスプラズマMHD発電の更なる性能向上に関する展開 衝撃波管駆動高温希ガスプラズマMHD発電の更なる性能向上に向けての実証試験を推進する。具体的には,運転条件の最適化と異なる負荷結線方式での発電実証を試みる。またプラズマ構造の観測やプラズマの電子温度,密度評価から,発電機内プラズマの特性を見極め,発電性能向上に向けて必要となる要件を把握する。一方で,数値シミュレーションによる性能評価と性能予測技術を確立し,実験結果の妥当性評価を行うととともに,その将来に向けての見通しを展開する。 2)パルス放電による高温希ガスプラズマMHD発電実証試験とその高性能化 レーザー駆動を模擬したパルス放電による高温希ガスプラズマMHD発電実証試験において,確実かつ高性能なMHD発電実証へと研究を展開し,研究目的の達成に向けての見通しを確立する。一方で,数値シミュレーションによる性能予測を高度化し,さらにはレーザー駆動MHD発電方式への展開を図る。 以上の研究計画の通り,実証実験ならびに数値シミュレーションの両方から展開し,本研究全体の目的達成のみならず,将来への展望も念頭に置きつつ,研究を精力的に推進する。
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