研究課題
今年度はRecA/Rad51の研究に集中した。組換え酵素であるRecA/Rad51はATP結合型として、先ず単鎖DNAの周囲に繊維状に結合し、できた複合体が二重鎖DNAを捉えて分子間二重鎖を形成する。我々はRecA/Rad51分子内の2つのループの内L1の中央にある酸性残基Asp (RecAでは、D161) が最初のDNA結合で単鎖選択に働くことを明らかにした。一方、RecA/Rad51が単鎖DNAと遭遇する前に二重鎖DNAと結合すると、自身の組換え酵素活性が強く阻害される。我々は、RecAの単鎖DNAへの選択的結合を解除するD161の中性残基Asn, Alaへの置換変異(D161N, D161A)が、この二重鎖DNAとの結合による組換え酵素活性の阻害をも解除することを見つけ、D161が、RecAの組換え酵素機能と、未知の機能との切り替え制御に働く可能性が示唆された。二本鎖切断修復には相同組換えと非相同末端結合(NHEJ)の何れかが働き、これらは互いに独立していると考えられている。Rad51がNHEJの正確さの維持にも働くことを示唆する結果 (Miura et al PNAS 2013) を手がかりに、RecA/Rad51を二重鎖DNAと反応させるとATPにより活性化される形で、NHEJの中心反応であるDNA ligaseによる切断端同志の共有結合形成を、極めて速く、また末端構造と無関係に促進することを見いだした。変異体RecAを用いた解析で、RecAがもつ2種類のDNA結合部位の両方が働くことが分かり、また、RecA/Rad51による末端結合促進の特異な分子機構が示唆された。草野は、更にRad51が、二重鎖切断修復において非相同性DNA切断端結合そのものにも働く可能性を追求している。これらの研究は、生体の相同組換えの人為的促進制御による標的組換え実現への手掛かりとなる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nucleic acids research
巻: 43 ページ: 973-986
10.1093/nar/gku1364
巻: 42 ページ: 941-951
10.1093/nar/gkt986