研究課題
葉の腋につくられる「腋芽」は、形成された後にさまざまな要因により伸長するか休眠するかが決まる。本研究では、腋芽がどのように休眠するのかを分子レベルで理解するために、休眠と伸長の移行段階にある腋芽の状態を、メリステム活性や遺伝子発現を指標に比較する。また、新規植物ホルモンであるストリゴラクトンの腋芽伸長抑制作用について、作用部位や作用メカニズムを明らかにし、腋芽の成長相の遷移にともなってメリステムにどのような現象が起こるのかを明らかにする。まず、イネを用いて、腋芽がどの段階で休眠するかを決定した。その結果、腋芽がついている葉の成長ステージがP7の段階に腋芽が休眠に向かい、細胞分裂がほぼ完全に停止することが明らかになった。ストリゴラクトンを合成できないd10変異体では、P7に達しても細胞分裂頻度が低下しない。したがって、この時期が休眠開始時期であることが分かった。そこで、腋芽での遺伝子発現について、P7時期の野生型とd10変異体の腋芽の比較、野生型植物の腋芽のP6.5とP7時期の比較を行い、腋芽休眠にかかわる遺伝子の網羅的解析を行うことにした。今年度は、解析のための材料を集めた。ストリゴラクトンの受容体候補であるD14の局在を解析した。その結果、D14はP6時期以降に腋芽に局在することが分かった。また、細胞間を移行する可能性が示唆された。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Plant & Cell Physiology
巻: 51 ページ: 1127-1135