研究課題/領域番号 |
22247007
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
黒岩 常祥 立教大学, 理学研究科, 教授 (50033353)
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研究分担者 |
中村 宗一 琉球大学, 理学部, 教授 (00201674)
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キーワード | 色素体分裂マシン / ミトコンドリア分裂マシン / ゲノム情報 / 液クロ・MS / プロテオーム / ZED遺伝子 / ZAP遺伝子 / 真核細胞の基本構造 |
研究概要 |
本研究の目的は、従来の研究成果を基盤に研究を進め、ミトコンドリアと色素体の分裂マシンの複合構造と機能の全貌を解明することである。次の項目について解析を行った。 1.液クロ・MS解析によるオルガネラ分裂マシンを構成する全タンパク質とその遺伝子の同定 オルガネラの分裂マシン画分をトリプシンで処理し、液クロ・MSにかけた。その結果オルガネラ分裂マシンには基質側のFtsZタンパク質(FtsZ1,2)と細胞質側のダイナミン(Dnml,2)が含まれていた。さらにこれらはリングを形成し、未知のリンカー物質で繋がり一体となっていることが分かった。次に単離分裂マシンを従来の電気泳動法・MSで調べると、全50種ほどのタンパク質が確認されたが、新たな液クロ・MS解析では、更に10倍のタンパク質が検出された。この中から、複膜系分裂マシン本体を統御する遺伝子の特定を行い、オルガネラの分裂全体を統御する遺伝子(TOP)を発見した。更に未知のタンパク質の中には単膜系オルガネラにも分裂マシンが存在することを示唆するデータが見出された。 2.オルガネラ分裂マシンを構成する全タンパク質の解析から分かった複膜系・単膜系オルガネラの分裂を統御する遺伝子の構造と機能の解析 単離したミトコンドリアと葉緑体の分裂マシン複合体の中に、1で述べたTOPが入っている事が分かってきた。このタンパク質の挙動を蛍光顕微鏡法と電子顕微鏡を使って解析するとともに、遺伝子破壊技術を用いて機能を解析した。 3.上記1.2.の解析による全オルガネラの分裂増殖を統御する遺伝子topの機能解析から得られた新たな細胞増殖モデルの提示 従来の細胞周期における細胞分裂に関しては細胞核と細胞質分裂のみが研究対象であった。申請者らはTOPが全オルガネラの分裂増殖を統御することを明らかにした。TOPを中心にした細胞増殖モデルを考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究.目的であった色素体とミトコンドリアの分裂機構だけでなく、これらを含む複膜系オルガネラ(細胞核、ミトコンドリア、葉緑体)と単膜系オルガネラ(ゴルジ体、ER、マイクロボディ、リソソーム)の7種の全オルガネラの分裂を統御する1遺伝子を発見したことである。
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今後の研究の推進方策 |
従来は複膜系オルガネラ(細胞核、ミトコンドリア、葉緑体)と単膜系オルガネラ(ゴルジ体、ER、マイクロボディ、リソソーム)の個々の分裂に関して研究を進めてきたが、今回、全オルガネラ7種の分裂を統御することが発見されたことから、この遺伝子を中心に、オルガネラの分裂増殖を基盤にした新たな細胞の分裂増殖機構を解明する。
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