研究課題
これまで「物質の取り込み」という側面だけが強調されていたリポ蛋白質受容体 (LR)ファミリー分子は、細胞や組織、個体にとって根源的なシグナル伝達に関わり、脂質代謝とは関係のない様々な疾患にも本質的に関わっている。本研究では、とくに医学的・生物学的にインパクトの高い3つのLRファミリー分子について構造生物学的手法と細胞生物学的手法を組み合わせ、リガンド認識から生理作用に至る構造メカニズムを明らかにすることを目的とする。研究1(reelin受容体系):reelinの受容体結合活性断片と、受容体であるApoER2の細胞外領域全長(約800残基)の複合体の結晶構造解析を終え、論文執筆中である。また、未だに構造が不明であったreelinのN末端領域の結晶化と構造解析に成功し、この領域に存在する機能阻害抗体CR50のエピトープを決定するための実験系の構築を終了した。研究2(LRP6系):LRP6細胞外領域の組み換え蛋白質と、リガンドであるDkk1との複合体についてネガティブ染色試料を用いた電子顕微鏡イメージングでその二次元平均化画像取得していたが、さらにランダムコニカルチルト法により3次元構造の決定に成功した。さらに、LRP6の糖鎖に相当する密度の可視化に成功し、糖鎖がLRP6のコンフォーメーションと機能に影響を与えている可能性を示唆する結果をえた。現在論文執筆中である。また、同複合体の結晶化に成功し、低分解能ながら回折データの取得もおこなった。研究3(LR11系):LR11のVps10pドメインがアミロイドβ(Aβ)ペプチドに結合することを生化学的に明らかにし、海外研究者との共同研究でLR11が細胞内のAβのクリアランスに関わってることを明らかにした。この結果は現在論文投稿中である。さらに、AβペプチドとVps10pドメインの複合体の3.1Å分解能での構造決定にも成功した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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