研究課題
本研究は、Rac活性化を担うCDMファミリー分子群に焦点を当て、その遺伝子改変マウスを駆使して、「生命高次複雑系におけるこれら分子の役割」を明らかにすると共に、「各種受容体からRac活性化に至るシグナル伝達経路の全貌」を解明することを目的としている。本年度は以下の様な成果を得た。1) DOCK1/DOCK5欠損MEFを用いて、PDGF刺激によるperipheral ruffle形成がDOCK1とDOCK5により協調的に制御されているのに対し、DOCK1単独欠損によりdorsal ruffle形成が障害されることを見出した。DOCK1はDOCK5と異なり、C末の領域を介してphosphatidic acid(PA)と結合し、dorsal ruffle膜へ局在した。また,PA産生を触媒する酵素であるPLDの活性化をブロックしたところ、dorsal ruffleの形成は顕著に抑制された。以上より、PDGF受容体の下流でPLD が活性化し、PAの産生を介してDOCK1の局在をコントロールすることで、dorsal ruffle形成を選択的に制御していることが明らかとなった。2) DHR-2ドメインは3つの保存された構造小単位からなり、lobe Bとlobe Cを介してRacと会合する。一方lobe Aは、2量体形成に関わっているが、その機能的意義は不明である。この点を明らかにするため、DOCK2を欠損した胸腺腫細胞株に野生型のDOCK2およびlobe A欠損するDOCK2変異体を発現させた。その結果、lobe Aを欠損した変異体では運動性の回復が認められず、Rac活性化も障害されており、lobe Aを介した2量体形成の機能的重要性が明らかとなった。3) B細胞やマスト細胞を対象にノックアウトマウスを用いた機能解析を実施し、それぞれにおいてkeyとなる分子の同定に成功した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (15件) (うち招待講演 2件)
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