研究分担者 |
山本 博規 信州大学, 繊維学部, 准教授 (20262701)
橋本 昌征 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (80402139)
新井 亮一 信州大学, ファイバーナノテク国際若手研究者育成拠点, 助教 (50344023)
朝井 計 埼玉大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (70283934)
小笠原 寛 信州大学, ヒト環境科学研究支援センター, 助教 (30535232)
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研究概要 |
細菌細胞表層制御による細胞増殖,形態,機能維持メカニズムの解明に関し,以下の5つの観点から研究を行った.1)細胞壁溶解活性を示す合成致死酵素(LytF,Cw10)の解析に関しては,細胞の側面に局在する2回の繰り返しを持つLysMドメインが必須であることが解った.一方特異性の異なる触媒ドメインへの置換解析では,やはり触媒活性としてペプチドグリカンのD-glutamic acidとm-diaminopimelic acidの間を切断するDL-endopeptidaseが重要であることが解った.2)細胞壁溶解酵素阻害蛋白質IseAの構造解析に関しては,NMR法による立体構造解析が終了し、弓鋸のような新奇な構造を解明した.さらに、細胞壁溶解酵素LytFとの相互作用解析により、阻害機構を推定することができた.3)細胞壁主要成分であるTeichoic acidの修飾とアクチンホモログであるMreB, Mb1への影響についての解析では,MreBを枯渇させた細胞について電子顕微鏡観察を行った.その結果細胞表層構造に異常が見られ,細胞壁成分中のリン酸量も野生株に比べて減少していることが明らかになった.4)Teichoic acid欠損株の解析から,teichuronic acid高生産の有無に関わらず、アクチン蛋白質MreBH、細胞壁溶解酵素LytEをコードする遺伝子群の転写が著しく活性化され、逆に細胞壁溶解酵素LytFの発現が減少することを明らかとなった.5)転写制御因子であるシグマ因子の解析から,枯草菌SigIが細胞壁溶解酵素Cw10遺伝子の転写を制御していることを見出した。さらにCw10欠損時にsigIを破壊すると細胞伸長が阻害され、SigIが細胞表層制御に関与していることが示唆された.
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