研究課題/領域番号 |
22248010
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大島 敏久 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10093345)
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研究分担者 |
松本 広重 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 教授 (70283413)
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研究期間 (年度) |
2010-05-31 – 2014-03-31
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キーワード | 酵素電池 / 酸化還元酵素 / 微生物電池 / 廃棄物再資源化 |
研究概要 |
近年、低環境負荷のエネルギー生産方式として、食品廃棄物などの未利用生物資源を燃料とするバイオ燃料電池の開発が注目されている。本研究は未利用生物資源を燃料とし、酸化還元酵素を素子とする高出力で長期間安定的に使用可能な充電型酵素電池の開発を主目的とする。これまでに得られた研究成果は、食品中のタンパク質など由来のアミノ酸を燃料とする酵素電池として耐熱性L-プロリン脱水素酵素を用いたメディエータ型プロリン燃料電池(容量1ml)の製作に成功した。また、その起電力(0.2V)、出力を改良するために、電池セル装置の小型化を進め、溶液循環型の新たな電池セル(容量550μl)の作製に成功し、起電力(0.6V)を大幅に増大させ、2μW/cm2の出力を得た。この成果は論文として投稿準備中である。さらに出力の改善のために、電極素材、セパレータ膜、メディエータ種類等について検討するとともに、酵素の高出力直接型燃料電池の作製のため高配向性、高密度な酵素の電極への固定化法の検討を現在進めている。一方、高起電力を得るためには、触媒能の高い酵素が必要であり、新たな酵素素子を探索するとともに、新規な基質特異性と高触媒能を併せ持つ新規脱水素酵素を発見するため、メタ酵素法(環境中から直接酸化還元酵素を単離・同定する方法)の研究とゲノム既知生物に存在する脱水素酵素と推定できる酵素の機能解析を行った。これまでに、新規耐熱性L-ロイシン脱水素酵素の単離・同定、機能解析と藍藻の新規トリプトファン脱水素酵素の遺伝子クローニング、精製と機能解析に成功し、現在論文に成果を投稿準備中である。一方、酢酸菌Gluconobacter oxydans由来の7種類の推定上PQQ, FAD依存性脱水素酵素の大量発現系の構築に成功したが、不安定であるために、十分な機能解明には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの研究により、L-プロインを燃料とする酵素電池の開発に成功した。これは世界で最初のアミノ酸電池の開発に成功した点で価値がある(現在成果を論文として投稿準備中である)。室温での酵素活性が相対的に低いことと、電極への酵素分子の配向性を持たせた固定化法に成功していないことから起電力が十分でない。そこで触媒活性の高い酵素や新規電極用酵素の検索を行い一定の成果を上げているが、一方で電池装置の改良がまだ十分とは言えない点で、当初の計画よりもやや遅れていると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに作成したプロリン酵素電池では、出力が低いため電極素材、セパレータ膜などの電極素子等について、さらに改善を検討するともに、酵素の高出力直接型燃料電池の作製のため高配向性、高密度な電極への固定化法などの検討を進める。また、高起電力の達成ために触媒活性の高い脱水素酵素の探索、遺伝子工学的手法による調製などの研究をさらに進める。ただし、本研究の当初計画していた充電型酵素電池の開発については、まだ十分な起電力を得ていないので、取り組みを当初の研究計画を変更して次年度以降の継続課題としたい。
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