研究課題/領域番号 |
22248017
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
粟屋 善雄 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (90353565)
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研究分担者 |
大塚 俊之 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (90272351)
玉川 一郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (40273198)
児島 利治 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (90346057)
高橋 興明 独立行政法人森林総合研究所, 森林管理研究領域, 主任研究員 (90435587)
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キーワード | 森林生態 / 保護 / 保全 / 炭素収支 / LiDAR / 生理生態 |
研究概要 |
炭素収支モデルのパラメータ改良を目指し、ササ型林床を持つ落葉広葉樹林(伐採地と50年生)、ササ型林床を持たない落葉広葉樹林(伐採地,7,20,50年生)、スギ人工林(4年生と40年生)を選定し土壌呼吸速度を測定した。落葉広葉樹林伐採地および成熟林においてササ型林床は、地温を低下させる一方で、土壌呼吸速度を増加させることが明らかとなった。全ての森林生態系において土壌呼吸特性(R_<20>)と林分構造(地上部現存量、落葉落枝量、地下部現存量および細根量)を比較した結果、R_<20>は細根量と有意な正の相関関係にあることが明らかになった(P=0.0002)。流域スケールでは土壌呼吸特性と森林構造は密接に関係していることが示されたため、今後リモートセンシング技術を用いたスケールアップを期待できる。 炭素収支計算に利用するため、森林分類の高精度化を目指した。LiDARデータから作成した群落高を利用して森林と非森林を分類し、落葉期(2007年4月)と転葉期(同5月)の高分解能衛星データを利用して、落葉林と常緑林を分類した。分類精度は94%と向上したが、同じフェノロジーを示す森林タイプ(例スギ、ヒノキ)の分類はあまり改善しないことが分かった。 炭素収支の推定結果を検証するため、スギ林とヒノキ林についてLiDARデータによる材積推定モデルについて検討した。高密度(65点/m^2)と低密度(1点/m^2)を比較したが、LiDARパラメータと材積の関係は同様の関係を保った。この結果、低密度データでも高い精度で蓄積推定が可能なことが明らかになった。2011年8,月にLiDAR観測を実施し、得られたデータから推定した平均樹冠高と、調査で求めた落葉広葉樹林の材積の関係を解析したところ、相関係数が0.9を越える強い相関が認められた。これは平均樹冠高を利用して林分材積の推定が可能なことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
広域の炭素収支の推定結果を検証するために必要な、森林分類図の作成、LiDARデータの取得、およびLiDARデータによるバイオマス解析モデルの構築が順調に進んでいる。検証やモデルの改良に必要な土壌呼吸などのパラメータについて、新たな知見が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度までの成果に基づいて、広域での炭素収支を検証するための基礎データである純一次生産量(NPP)の分布図を2005年と2011年のLiDARデータを利用して作成する。また、炭素収支モデル(SATECO)を利用して、チューニングしたパラメータを用いて純一次生態系生産量(NEP)を推定し、NPPとNEPの分布傾向を比較する。 今後、NPPとNEPのいずれかに統一して精度検証を行う必要があるが、これまでの土壌呼吸の測定結果を吟味して、いずれを利用するかを決定し、平成25年度に検証法を確立する予定である。
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