研究課題/領域番号 |
22248017
|
研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
粟屋 善雄 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (90353565)
|
研究分担者 |
玉川 一郎 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (40273198)
大塚 俊之 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 教授 (90272351)
児島 利治 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 准教授 (90346057)
高橋 與明 独立行政法人森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (90435587)
斎藤 琢 岐阜大学, 流域圏科学研究センター, 特定研究補佐員 (50420352)
|
研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 森林生態 / 保護 / 保全 / 炭素収支 / LiDAR / 生理生態 |
研究概要 |
改良版のSATECO-LSMモデルと、大八賀川流域の 100m 格子の改良版気象データを用いて、領域全体について森林タイプを落葉広葉樹のみ、または常緑針葉樹のみとして流域の炭素収支をシミュレーションした。常緑針葉樹・落葉広葉樹ともに光合成は日射量やLAIに依存しているが、呼吸量は標高に依存し、植生の違いによる差が明瞭だった。常緑針葉樹より落葉広葉樹のほうが二酸化炭素吸収量が大きく、落葉広葉樹の展葉期における光合成能力の高さが現れた。これは樹種情報(森林タイプマップ)の精度が炭素収支推定の精度に影響することを示している。諸パラメータの改良も重要であることから、昨年度に続き、光合成および土壌呼吸の測定を継続し、SATECOのパラメータ改良のためのデータを蓄積した。 炭素収支の推定結果を検証するため、LiDARデータを用いて森林の材積を推定した。推定には2011年LiDARデータと森林調査データを用いて落葉広葉樹の材積推定モデルを作成し、常緑針葉樹には既存の材積推定モデルを利用した。プロットデータで結果を検証したところ、材積の推定値と調査値はほぼ1対1の関係で推定結果は概ね良好だったが、立木密度の違いが推定に影響していると考えられた。 LiDARデータによる材積推定では地盤面の標高(DTM)の精度が影響することから、2003年、2005年と2011年の3つのLiDARデータから推定したDTM(3LiDAR-DTM)と2003年データのみで推定したDTM(2003DTM)を比較した。その結果、針葉樹の密林では2003DTMの値が高く、地面ではなく樹冠の上部の標高を表していると考えられた。このような林分では材積が著しく小さく推定されることが分かった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
改良版のSATECOモデルによる常緑針葉樹と落葉広葉樹の炭素収支推定結果が示され、森林タイプによる炭素固定量の差が大きいことが分かった。3カ年のLiDARデータによる材積(バイオマス)推定の精度向上および時系列変化(NPP)推定の目途がたった。森林タイプ分類結果を併用して炭素収支評価データを提供できる。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度までの成果に基づいて、広域での炭素収支を検証するための基礎データである純一次生産量(NPP)の分布図を2005年と2011年のLiDARデータを利用して作成する。また、炭素収支モデル(SATECO)を利用して、チューニングしたパラメータを用いて純一次生態系生産量(NEP)を推定し、NPPとNEPの分布傾向を比較する。 SATOECOによる炭素収支推定が改良されて、LiDARデータによる基盤検証データが整備されたことから、大八賀川の中流域部分を対象に炭素収支推定の相互検証を行い、広域検証の方法として取りまとめる。
|