研究課題/領域番号 |
22248026
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研究機関 | 独立行政法人農業環境技術研究所 |
研究代表者 |
林 健太郎 独立行政法人農業環境技術研究所, 物質循環研究領域, 主任研究員 (70370294)
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研究分担者 |
長谷川 利拡 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 上席研究員 (10228455)
豊田 栄 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 准教授 (30313357)
堅田 元喜 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工学部門, 研究員 (00391251)
岩崎 亘典 独立行政法人農業環境技術研究所, 生態系計測研究領域, 主任研究員 (70354016)
小野 圭介 独立行政法人農業環境技術研究所, 大気環境研究領域, 研究員 (20549555)
八島 未和(松島未和) 千葉大学, 園芸学研究科, 助教 (60527927)
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キーワード | 温暖化影響 / 窒素循環 / 水田 / 二酸化炭素 / 水稲品種 / FACE |
研究概要 |
大気-水田間の窒素循環の把握に関して,茨城県つくばみらい市の水田における窒素化合物の湿性沈着,大気濃度,および交換フラックスの観測を平成22年6月以降継続して行った.湿性沈着は降水時開放型サンプラーを用いて週単位で捕集した.大気濃度は昼夜区分フィルターパック法を用いて週単位で平均濃度を測定した.微気象の観測データと併せて濃度勾配法により交換フラックスを算定した.また平成23年6月~平成24年2月にかけて窒素酸化物濃度計および2高度切替システムを用いて一酸化窒素と二酸化窒素の大気濃度を2高度で連続測定した.さらに,水田の水量および水質のモニタリングを実施した. 気候変動が大気-土壌-水稲系の窒素循環に及ぼす影響の解明に関して,開放系大気二酸化炭素増加実験施設(FACE)水田を利用して,圧縮空気を用いたダイナミックチャンバー法による水稲止葉のアンモニア放出ポテンシャルの測定における技術的な課題を整理した.また,シリコンチューブを用いた土壌ガスサンプラーと密閉チャンバーを併用して,一酸化二窒素の土壌中濃度および地表放出フラックスの測定を行い,同位体分析によって一酸化二窒素の生成・消滅に関する解析を行った.さらに,水田作土の窒素固定能,無機窒素含量,および微生物バイオマスの全炭素・全窒素含量などを測定した. 大気-水田間の窒素循環予測モデル・システムの開発に関して,大気-陸面系モデルSOLVEGの水田への適用について実データを用いた検証および改良を進めた.また,土壌-水稲系モデルDNDC-Riceの水田生態系の窒素循環への適用について検証を行い改良すべき課題を抽出した.さらに,広域評価モデルの構築および高頻度低空間解像度の衛星画像情報を有効利用するミクセル分解を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主要項目である大気-水田間の窒素循環の把握,気候変動が大気-土壌-水稲系の窒素循環に及ぼす影響の解明,および大気-水田間の窒素循環予測モデル・システムの開発のいずれとも当初の計画に沿った研究成果を挙げつつある.
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今後の研究の推進方策 |
基本的に当初の計画どおりに研究を推進する.特に,これまでのプロセス解明およびモニタリングにより得られた情報およびデータを数値モデルに反映させることに重点をおく.なお,平成23年度の研究において,土壌-水稲系モデルDNDC-Riceによる水田生態系の窒素循環の記述精度を向上するには緩効性肥料由来の窒素供給に関する詳細なモニタリングデータが重要であることが明らかとなった.よって,この部分について必要な経費を平成24年度に繰り越し,平成24年度前半に実データの取得およびモデルの改良を進めるよう研究計画を変更した.
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