研究概要 |
本研究は、哺乳類の雌雄生殖系列におけるエピゲノム情報のリプログラミングを解明するため、生殖細胞および胚において、遺伝子発現制御する主要因であるDNAメチル化を、全ゲノムレベルで、かつ単一シトシン残基における全貌を明らかにすることを目的に実施した。本年度は、マウス卵子(10000個)および精子からDNAを抽出してバイサルファイト処理してメチル化解析のライブラリー(平均200bpのマウス塩基配列を含む)を作成した。このうち、精子DNAのライブラリーについては、Genome Analyzerを用いて塩基配列の決定を行い、総計11億リードの塩基配列を決定した。ついで、マウスゲノムレファレンス(mm9,UCSC Genome Browser, July 2007, Build 37.1)にマッピングしたところ、平均マウス全塩基配列の15.2倍のリード配列をマップしていた。また、ゲノム中の全CpGサイトの81.7%のサイトが少なくとも1リード、また65.9%が5リード以上マップされていた。シトシン残基のメチル化状況は、精子では高度にメチル化されており、全シトシン残基の75.4%がメチル化状態にあることは判明した。特に、トランスポゾン領域では80%以上がメチル化されていた。本研究により、初めて全ゲノムレベルでの精子DNAメチル化状態が明らかとなったが、今後卵子において同様の成果が得られればDNAメチル化の比較解析が可能となり、エピゲノム研究のプラットホームとなり得る。
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