研究概要 |
本研究は、トキソプラズマ原虫の発育ステージ(急性感染期のタキゾイト→慢性感染期のブラディゾイト)変換の分子機構の解明と新規次世代型ワクチン開発を目指して実施する。本年度に実施した研究内容と得られた研究成果は以下の通りである。 1. 試験管内ステージ変換系を確立した。試験管内で人為的にタキゾイトからブラディゾイトへのステージ変換を促し、大量のブラディゾイト虫体を得ることができた。 2. ブラディゾイト虫体の完全長cDNAラブラリーとESTデータベースを作成した。ブラディゾイト虫体のRNAを抽出し、オリゴキャッピング法にて完全長cDNAライブラリーを構築した後、約10,000クローンの全塩基配列を解読し、ESTデータベースを作成した。 3. トランスクリプトーム解析を行った。以前当研究グループで構築したタキゾイトESTデータベースと2)で作成したブラディゾイトESTデータベースの比較により、タキゾイト或いはブラディゾイト単一ステージのみに特異的に発現する遺伝子を網羅的に探索した。その結果、タキゾイトとブラディゾイト特異遺伝子がそれぞれ424個と759個が同定された。そのうち転写制御因子と推定されるAP2遺伝子がそれぞれ4個と6個が含まれていた。また.ブラディゾイト特異的に発現するAP2はCCAGTGモチーフに結合することで、ステージ特異的な転写制御が行われている可能性が示唆された。
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