研究課題/領域番号 |
22248038
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
妹尾 啓史 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40206652)
|
研究分担者 |
太田 寛行 茨城大学, 農学部, 教授 (80168947)
|
キーワード | 土壌メタゲノミクス / 水田土壌 / 畑土壌 / 細菌群集構造 / 糸状菌群集構造 / 窒素循環 / 一酸化二窒素 |
研究概要 |
メタゲノム解析より、水田土壌にはDeltaproteobacteria綱細菌、特にGeobacter属やAnaeromyxobacter属細菌が優占していること、また他環境と比較してもそれら分類群の優先率が高いことを明らかにした。また、水田土壌において進行する各還元反応に関与する鍵酵素の遺伝子群の構造を明らかにし、各機能微生物群集の構造を明らかにした。硝酸還元を触媒する酵素の遺伝子、アンモニア生成型の亜硝酸還元を触媒する酵素の遺伝子、脱窒反応の一部の一酸化窒素還元を触媒する酵素の遺伝子、および一酸化二窒素還元還元を触媒する酵素の遺伝子は、Deltaproteobacteria綱由来のものが多く検出された。これまでDeltaproteobacteria綱細菌について鉄還元や硫酸還元を担うことが明らかにされてきたが、本研究により水田土壌において窒素循環にも深く関与している可能性が示唆された。 九州沖縄農業研究センター都城研究拠点試験区内の牛糞液状きゅう肥連用畑地土壌を供試して,メタ16S rRNA遺伝子解析とメタ18S rRNA遺伝子解析を行い,液状きゅう肥連用が細菌と糸状菌群集構造に及ぼす影響を調査した.その結果,きゅう肥施用量にともなって,細菌ではAcidobacteria門とBetaproteobacteria綱の割合の減少に対して,Alphaproteobacteria綱,Gemmatiomonadates門とBacteroidetes門の割合の増加が示唆された.糸状菌では,Ascomycota門の優占度がきゅう肥連用量にともなって上昇し,そのなかでも Pezizomycetes綱が施用量に応じて増加した.また,土壌からのN2O生成についてin vitro活性測定系を開発し,糸状菌のN2O生成ポテンシャルが細菌のポテンシャルに匹敵することを明らかにした.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
水田土壌のメタゲノム解析ならびに畑地土壌のメタゲノム解析を計画通り実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでの成果に基づき、水田土壌のメタトランスクリプトーム解析、畑地土壌のメタゲノムデータを用いた微生物機能遺伝子解析、三宅島土壌のメタ16S rRNA遺伝子解析を実施する。
|