研究課題
細胞内におけるレドックスバランスは、環境ストレス応答・防御を含む様々な生理機能の発現に深く関わっている。そこで、「植物のレドックス制御による環境ストレス応答の分子機構」を統合的に理解することを目指して、(1)葉緑体ROSを介した酸化的シグナリングの分子機構、(2)ヌクレオシド2-リン酸代謝による細胞内レドックス制御機構について解析した。(1)葉緑体H2O2応答性遺伝子群の破壊株および優性抑制株ラインより、光酸化的ストレス高感受性および非感受性変異株(pssおよびpsi)とエリシター高感受性変異株(fs)を単離した。それらの原因遺伝子は、フェニルプロパノイド(PSS8)やγ-アミノ酪酸代謝関連酵素(PSI2)、および転写因子であり、酸化的ストレス応答のリプレッサーとして機能する(PSS7)やエリシター応答性を示す(FS1)をコードしており、それらの酸化的ストレス応答機構への関与が示唆された。(2)シロイヌナズナのNudix hydrolaseの解析から、細胞内NADHレベル制御の重要性が示された。そこで、NADHレベルが野生株と比較して約1.5、1.6および2.9倍へと段階的に増加しているシロイヌナズナAtNUDX6破壊株、AtNUDX7破壊株および二重遺伝子破壊株を用いて、GeneChip解析および定量的RT-PCR解析を行った。その結果、野生株および各遺伝子破壊株における発現量がNADHレベルと高い正および負の相関を示す遺伝子が、それぞれ23個および13個同定された。それらには、生物的および非生物的ストレス応答性遺伝子が多数含まれていたが、既報の細胞内ROSや抗酸化物質に応答性を示す遺伝子群とは一部しか重複が認められなかった。以上より、細胞内NADHレベルもしくはそのレドックスバランスの変化が酸化ストレスに応答した遺伝子発現の制御に関与していることが明らかとなった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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