研究課題/領域番号 |
22249006
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
橋本 祐一 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 教授 (90164798)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | トラフィッキング / フォールディング異常症 / 蛋白変性症 / マルチテンプレート / 核内受容体リガンド / 生理活性物質 / ニーマン・ピック病C型 / 膜タンパク質 |
研究概要 |
当初研究計画(平成22年度申請書)に記載の内容(4柱【柱1:タンパク質の局在・凝集・寿命の正常化】【柱2:タンパク質の分解排除の制御】【柱3:タンパク質フォールディングの精密制御】【柱4:マルチテンプレートライブラリー】)に乗っ取り、平成24年度には以下の成果を上げた。【柱1】ニーマン・ピック病C型の原因蛋白である変異NPC1ならびにその関連蛋白であるNPC1L1の人工変異体について、そのトラフィッキング異常を修正する化合物群の創製に成功するとともに、新たなリガンド結合部位の存在を確認した。NPC1については、その結合部位の光親和性ラベル化剤の創製にも成功し、コレステロール輸送機能との関連についても初歩的な解答を得た。【柱2】神経変性疾患・ポリグルタミン病を念頭に、ハンチントン病について、その原因となるハンチンチンを分解排除する化合物の設計・合成を進めた。当該化合物について現在までのところ、ハンチントン病患者由来細胞について、フラグメント化したポリグルタミンハンチンチンを減少させる活性を認めた。【柱3】レチノイドX受容体(RXR)に関して、サブタイプ選択的なインバースアゴニストの創製に成功した。【柱4】テトラヒドロナフタレン型マルチテンプレートやジフェニルメタン型マルチテンプレートに、ケイ素原子を導入した骨格を新規テンプレートと設定し、特徴ある生理活性物質の創製を企画した。現時点で、ケイ素原子の特性を活用しての、アンドロゲン受容体・ビタミンD受容体デュアルリガンドの選択性変換、レチノイドX受容体の新規リガンドの創製、などに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
対象とする、存在状態の制御研究を行うタンパク質について、質(疾病発症・治療)との関連ならびに多様性とも、予想以上の充実・拡充に成功している。特に、ニーマン・ピック病C型に対する新しい治療戦略が提案でき、NPC1については従来知られていなかった、しかしその機能において重要と考えられる新たなリガンド結合部位の発見に至り、難病治療戦略提案ならびにコレステロールの細胞内輸送の分子基盤解明と、基礎・応用両面に渡る研究成果を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進行している。最終年度を迎え、【柱1:タンパク質の局在・凝集・寿命の正常化】【柱2:タンパク質の分解排除の制御】については、得られつつあるインパクトの大きな課題(NPC1 蛋白の従来知られていなかった新たな結合部位、従来方法がなかった特定タンパク質、特にポリグルタミン型アミロイドの分解排除)について重点的に基礎研究を進める。 【柱3:タンパク質フォールディングの精密制御】【柱4:マルチテンプレートライブラリー】についてはこれまでどおり、代謝性核内受容体のリガンドを中心に構造展開研究を進める。
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