当初研究計画(平成22年度申請書)に記載の内容(4柱【柱1:タンパク質の局在・凝集・寿命の正常化】【柱2:タンパク質の分解排除の制御】【柱3:タンパク質フォールディングの精密制御】【柱4:マルチテンプレートライブラリー】)に則り、平成25年度には以下の成果を上げた。 【柱1】昨年度に引き続き、神経変性疾患に関わる疾病変異ならびに人工変異膜蛋白質の、トラフィッキング異常を修正する化合物群の構造展開を遂行し、特徴ある活性化合物の創製に成功した。また、いくつかの蛋白質―蛋白質相互作用を制御する小分子の設計創製にも成功した。 【柱2】抗腫瘍活性を念頭に、腫瘍遺伝子産物でもある上皮増殖因子受容体(EGFR)について、その分解排除を狙った化合物、EFGR-SNIPERを設計・合成した。活性検定を勧めている。 【柱3】肝臓X受容体(LXR)に関して、サブタイプ選択的なフタルイミド型各種アゴニストや各種アンタゴニストを創製し、かつ、トランスアクチべーション作用とトランスリプレッション作用の分離に部分的に成功した。また、核内ビタミンD受容体に関しては、蛋白質の活性型フォールディング部分構造とコファクターとの相互作用を阻害するアンタゴニストの創製に成功した。 【柱4】分子内にケイ素原子を含有する新規マルチテンプレート骨格を設定し、レチノイドオーファン受容体(ROR)やレチノイドX受容体(RXR)に対する特徴的な新規リガンドの創製に成功した。また、同テンプレートを抗腫瘍活性化合物に展開すべく、チュブリン重合阻害剤や、代謝物がエストロゲンアンタゴニスト活性物質となるステロイドスルファターゼ阻害剤の創製に成功した。
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