これまでの研究内容のうち、最も遅れているコンディショナルKOマウス作製用のターゲットベクターを再度構築し直した。具体的には、 ①ターゲティングベクターTV1をES細胞に導入し、スクリーニングをこれまで3回行ったが、CKO遺伝子座を有するESクローンが1つしか得られなかった。②このクローンを用いて、3回に分けてキメラマウス計9匹を作出し、野生型B6Nマウスとの交配で生まれたF1個体 合計135匹の遺伝子解析を行ったが、GLTが確認されず、CKOマウスが得られなかった。③使用したES細胞は他の遺伝子欠損マウス作製において実績があるため、ベクターに問題がある可能性がある可能性が高いとの結論に達し、現在ベクターの改良を行った。具体的には、3’armを伸長して相同組換え効率を上昇させること、およびNeoR遺伝子の方向を逆転し発現効率を上昇させることである。④自作TVおよびES細胞に問題があった場合のバックアップとして、EUCOMM (European Conditional Mouse Mutagenesis Program) にて作製されたInt6(eIF3e) CKO ESクローンを3クローン購入したが、サザンブロットによる遺伝子解析の結果、いずれも正しく相同組換えが起きていないものであることが判明し、使用できなかった。またEUCOMMのベクターの購入手続きを平成24年4月に行ったが、ベクター製造元でQuality Controlがとれておらず、平成25年2月現在で未納品のままとなっている。直接の原因ではないが、購入品が欠陥品であったことも今回の遅延の要因の一つであった。
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