研究概要 |
脂質メディエーターは,多彩かつ重要な(病態)生理学的反応に関与することが明らかとなっているが,生体におけるその変動・制御機構に関しては不明の部分が多く,診断医学的知見にも乏しい.本研究においては,我々がこれまで継続してきたリゾリン脂質の基礎・臨床的研究を集大成して,未開の分野である脂質メディエーターの臨床検査医学の構築を目指している.スフィンゴシン1-リン酸(Sph-1-P),リゾホスファチジン酸(LPA)とその産生酵素であるオートタキシン(ATX),リゾホスファチジルセリン(LPS)の産生酵素であるPS特異的PLA1(PS-PLA1)の測定意義に関して重要な知見を明らかにした. ・我々が世界に先駆けて開発し(Yatomi et al.Anal.Biochem230:315-320,1995),改良したSph-1-P測定法を用い,慢性C型肝炎における血漿Sph-1-P低値を明らかにした(Ikeda,et al.).また,Sph-1-Pの動脈硬化(Wang,et al.),糖尿病性腎症(Imasawa,et al.)への関与を明らかにした. ・ATXの肝線維化(Nakagawa,et al.),膵癌(Nakai,et al.)における測定意義を明らかにした. ・PS-PLA1の免疫学的測定系を確立し,その基礎検討を報告した(Nakamura,et al.)
|