研究概要 |
第二世代の脂質メディエーターとして注目されるリゾリン脂質に関して,その機能的役割・生体における代謝をを解析するとともに,臨床的解析も加え,以下のような具体的成果を挙げることができた. <スフィンゴシン1-リン酸(S1P)関連> S1Pの生体における代謝において,ApoMがきわめて重要な役割を果たすことを,アデノベクターによるマウス生体肝でのApoM高発現の系を用いて示した(Kurano et al., Atheroscleroisi, in press).また,血清S1Pが血小板数によって制御されていることを示した(Ono Y, et al., Lipids Health Dis. 12: 20, 2013).これらは,S1Pの生体における動態の解明に大きく寄与するものである. <リゾホスファチジン酸(LPA)とその産生酵素であるオートタキシン(ATX)関連> 前年度に示した急性冠症候群における血漿LPA上昇(Dohi, T., et al.2012年)の機序を解析した.この際のLPA上昇において,ATXを介さず,また,血小板活性化/リポタンパク質酸化にも依存しない未知の経路があることを示した(投稿中).また,血中ATXレベルが,副腎皮質ステロイド治療により制御されること,これが脂肪組織でのATX発現低下による可能性を示した(Sumida., H., et al., Clin. Chim. Acta. 415: 74-80, 2013). <リゾホスファチジルセリン(LPS)とその産生酵素PS-PLA1関連> 自己免疫性疾患への関与を示唆するデータを得た. <その他> S1Pの源となるスフィンゴミエリンの自動分析系の構築と冠動脈疾患における上昇の確認を報告した(Ohkawa, R., ert al., Clin. Biochem. 45: 1463-1470, 2012).
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