研究課題
以下の3つの基本プロジェクトを目的に掲げて研究を遂行した。(1)ミトコンドリア機能維持機構の基礎研究:p32ノックアウトマウスを作製した。全身性ノックアウトは胎生致死であった。p32ノックアウトMEF細胞株を樹立し、その解析からp32ノックアウト細胞では電子伝達系の活性が非常に強くに低下しており、その原因はミトコンドリア内における翻訳の高度の障害によることが明らかになった。p32はミトコンドリアリボソームの形成に重要な因子であることが明らかにした。(2)ミトコンドリア検査診断システム:高速DNAシークエンサーを用いた、全ての部位における点変異、欠失変異を定量的に検出できる系の構築のための予備実験を進行中である。10分割したmtDNAの断片を1つのチューブで一度に定量的に増幅できる反応系の構築までたどり着いている。23年度はこの系をさまざまの疾患サンプルに適用し、その産物を高速DNAシークエンサーで解析し、診断的有用性について検証する予定。(3)体細胞ミトコンドリアDNA解析:コホート研究のため、5000人の糖尿病患者の血液生化学検査値の取得とそのDNA分離が終了した。今後、上記(2)のシステムが完成した後には、mtDNAの大量解析に移る予定。またコントロールとして、久山町住人3000人分のmtDNA中の約2kbpの領域の配列を、通常のダイレクトシークエンス法ですでに決定している。この3000人の中には糖尿病患者を含む耐糖能異常者が数百人含まれおり、とりあえずこの3000人の集団の中で、耐糖能正常者と異常者とのあいで、SNP解析を始めているが、その解析はまだ進行中である。
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