研究課題
本研究の目的は、我々が全ゲノムの連鎖解析で見出した17q25.3の遺伝子座位において、Positiohal cloningを行い、感受性遺伝子mysterinを特定した。この遺伝子について、以下の4点を行うことである。(1)遺伝子mysterinの細胞生物学的機能の解明(2)ウィリス輪終末部位の閉塞性病変の根幹をなす平滑筋細胞の増殖の機転(3)遺伝子破壊によるマウスでの病態の検討(4)遺伝疫学的検討による予防手法の確立以上をもってもやもや病の病態の解明から治療・予防の策定に資する。平成23年度は、遺伝子改変マウスを用いた検討改変動物の作成:標的とする遺伝子mysterinのジェノミックDNAをもとにKO個体を生産した。現在、この個体について交配を行い新たな形質を見出し、現在その生理的変異について検討している。病態解明には、遺伝子mysterinの特異抗体が必要である。昨年度得た抗体について、SiRNAで特異性を検討したところ非常に特性が高いことが判明した。この抗体を用いて細胞内局在を検討したところ核および細胞質に存在していた。細胞生物学的機能および平滑筋細胞の増殖の機転を解明するために、in vitro系の確立を行った。既に3名の患者より線維芽細胞の提供を受け、iPS細胞の樹立を行った。
1: 当初の計画以上に進展している
既に遺伝子Xについては、mysterinとして報告を完了し、NCBI上では、RNF213 Isofom3として登録されている。また、ノックアウトマウスの交配も順調に進展し、新たな病態が見出され現在その解析を進めている。さらに、患者から協力を得て、iPS細胞の樹立を行い、in Vitroでの血管内皮細胞への分化誘導に成功した。現在、mysterinの変異細胞に特有の特長を解析している。また、予防に資するため、もやもや病に特異的な変異の遺伝疫学を検討したところ、日中韓の一般人口での変異の頻度が明らかになった。
本年度は最終年度に当たり、得られた抗体、動物資源、知見を統合し、もやもや病の病態の解明に当たる。当初計画通り遂行する。
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脳神経外科
巻: 40 ページ: 105-118
Neurologia medico-chirurgica
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PLoS One
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10.1371/journal.pone.0022542