研究課題/領域番号 |
22249022
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯 博康 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (50223053)
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研究分担者 |
玉腰 暁子 愛知医科大学, 医学部, 教授 (90236737)
大平 哲也 大阪大学, 医学系研究科, 准教授 (50448031)
山岸 艮匡 筑波大学, 医学系研究科, 講師 (20375504)
本庄 かおり 大阪大学, グローバルコラボレーションセンター, 特任准教授 (60448032)
白井 こころ 琉球大学, 法文学部, 准教授 (80530211)
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キーワード | 循環器疾患 / 社会疫学 / 社会心理 / 生活習慣 / バイオマーカー |
研究概要 |
研究目的:全国の地域・企業集団の40歳以上男女約22万人を対象として、中年期の肥満度の増加、拡張期血圧の上昇、脂質異常等の危険因子の増大等に対処するため、地域社会の環境・経済要因から、個人の社会経済・心理要因、心理的バイオマーカー、生活習慣、生物学的危険因子、動脈硬化、循環器病の発症・死亡へのプロセスの解明を、社会科学と健康科学の融合により行うことを目的とした。 方法と結果: 研究1)地域社会の環境・経済指標の循環器疾患発症・死亡リスクへの影響の解析:社会人口統計体系市町村基礎データやGISを利用して、環境・経済指標のデータベース化を完了した。マルチレベル解析により個人のストレスのみならず、地域レベルでのストレス状態が虚血性心疾患の死亡リスクを増加させることが明らかになった。 研究2)個人の社会経済・心理要因と心理的バイオマーカー、生活習慣、生物学的危険因子、動脈硬化との関連分析:個人の社会経済・心理要因について新たな質問表を作成し、今年度は秋田県町の循環器健診受診者約1500人、および大阪府Y市M地区健診受診者約1900人に実施した。その結果、昨年の茨城県における結果と同様に、何らかのストレスを大いに・かなり感じている者は約22%、興味がない、希望がわかない者はそれぞれ約5%、また、情緒的に支えてくれる人がほとんどいない者は約7%であった。また、うつ症状を有する者の家庭血圧値は、そうでない者に比べて高い傾向が認められた。 研究3)地域の環境・経済指標、個人の社会経済・心理要因に密接に関連する生活習慣、生物学的危険因子の動脈硬化、循環器疾患発症・死亡への影響分析:40-79歳男女約11万人を対象として、ベースライン時の失業と各循環器疾患死亡、がん死亡ならびに総死亡との関連を検討した。年齢調整および多変量調整の結果、男性ではフルタイム雇用者に比べて失業者で、多変量調整ハザード比(95%CI)が、脳卒中死亡で1.78(1.03-3,06)、全循環器死亡で1.75(1.23-2.48)、総死亡で1.88(1.59-2.21)と有意に高かった。女性では、全がん死亡で1.45(95%CI:1.06-2.00)、総死亡で1.36(95%CI:1.09-1.69)と、リスク上昇を認めたが、循環器死亡では有意な傾向はみられなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究1)「地域社会の環境・経済指標の循環器疾患発症・死亡リスクへの影響の解析」、研究3)「地域の環境・経済指標、個人の社会経済・心理要因に密接に関連する生活習慣、生物学的危険因子の動脈硬化、循環器疾患発症・死亡への影響分析」、については、データ構築がほぼ完了しており、現在解析・論文化を進めている段階である。研究2)「個人の社会経済・心理要因と心理的バイオマーカー、生活習慣、生物学的危険因子、動脈硬化との関連分析」についても予定通りに測定が進んでおり、今後分析を進めていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
研究2)「個人の社会経済・心理要因と心理的バイオマーカー、生活習慣、生物学的危険因子、動脈硬化との関連分析」については、社会的支援、うつ症状等の社会心理的要因と家庭心電図による自律神経機能、中心動脈、各動脈硬化指標との関連についての測定を進めるとともに、解析を実施していく。研究3)「地域の環境・経済指標、個人の社会経済・心理要因に密接に関連する生活習慣、生物学的危険因子の動脈硬化、循環器疾患発症・死亡への影響分析」については、周囲の人に頼られていること、および失業と循環器疾患死亡との関連について解析・論文化を行う。
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