1.年齢依存性転写抑制因子regulator of heat-induced transcription (Rhit)の機能を解明するため、従前に作製したRhit-/Rhit-マウスの表現型解析を継続した。その結果、①2週齢、5週齢及び12月齢由来腎におけるmRNA発現をmicroarray法によってwild-typeマウスと網羅的に比較したところ、顕著な発現上昇、降下を示す遺伝子は見出されなかった;②12月齢由来精巣におけるmRNA発現について同様に解析したところ、顕著な遺伝子発現変動は認められなかった;③およそ12月齢までの成長・発達、妊性などについて、Rhit-/Rhit-マウスにはwild-typeマウスと異なる顕著な所見は認められなかった。昨年度に明らかにした血液生理学的及び病理組織学的解析結果を合わせ、Rhit-/Rhit-マウスにはwild-typeマウスに比較して明らかに異なる表現型は認められず、従ってRhitの機能は他の転写抑制因子によって補完されているものと考えられた。 2. 年齢依存性Mpv17-like protein (M-LPH)について、①核のみならず、ミトコンドリアに斑状に局在している;②M-LPH knockdownによってmtDNA損傷の増加、mtDNA-encoded geneの発現降下が生じる;③M-LPHはmtDNA、mtDNA修復に関与するDNA polymerase γなどと共局在する、などを明らかにした。その結果、M-LPHはmtDNA修復酵素群のプラットフォームとして、mtDNA維持に関与しているものと考えられた。 3.外見・身体所見―関連遺伝子の検索過程で、growth hormone receptor遺伝子内SNP(rs6180)は身長との相関は見られないものの、心重量や腎重量などと相関していることを明らかとした。
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