研究課題/領域番号 |
22249031
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
三嶋 理晃 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60190625)
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研究分担者 |
小川 恵美子 滋賀医科大学, 学内共同利用施設等, 講師 (00378671)
瀬山 邦明 順天堂大学, 医学部, 准教授 (10226681)
平井 豊博 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20359805)
伊藤 功朗 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40447975)
室 繁郎 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60344454)
松本 久子 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60359809)
平家 俊男 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90190173)
陳 和夫 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90197640)
半田 知宏 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10432395)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 疾患特異的iPS / II型肺胞上皮細胞 / I型肺胞上皮細胞 / 分化誘導 |
研究概要 |
ヒトiPS細胞からII型肺胞上皮細胞への分化誘導法の確立へと研究をすすめた。当初はレトロウイルスを用いて樹立されたB7株を中心に実験を行ったが、さらに、種々のiPS細胞株で再現性を確認した。2012年度末に、本研究におけるES細胞の使用が文科省から承認されたため、ES細胞を用いて同様の実験を行い、再現性を確認した。同じ目標を持つ研究について2012年から2013年にかけて新しい報告が出た。これらを参考にして培地添加物の組成を調整し、比較も行っている。その結果、匹敵する程度のNKX2.1陽性細胞の誘導効率、SP-C陽性細胞の誘導に成功している。また、試みとして三次元培養を行い、球状の立体構造物を観察し、その中にSP-CやT1alpha陽性細胞を見出している。電子顕微鏡ではII型肺胞上皮細胞に特徴的lamellar bodyを観察した。まだ誘導効率が不十分であり、さらなる改善に努めている。誘導過程で得た新規表面抗原マーカーXを用いて誘導の後半ステージで陽性細胞を濃縮することに成功し、B7のみならず他の細胞株でも再現性のデータをとっている。2013年4月には「肺胞上皮前駆細胞の誘導方法」と題して、特許申請を行った。2013年10月には3次元培養法についての追加記載を行った。現在は海外特許の申請を準備中である。 患者の皮膚線維芽細胞からの疾患特異的iPS細胞を用いる研究では、Hermansky-Pudlak症候群で肺胞上皮細胞の誘導を行ったほか、TSC-LAMの患者から皮膚線維芽細胞培養を行った。 動物への移植実験については、腎皮膜下移植で分化した肺胞類似組織が形成されるかを確認するために実験を行ったがうまくいかず、方法を検討中である。肺胞上皮細胞の誘導過程を改変して、気道上皮細胞の誘導実験を行っている。また、工学部と共同で、ナノファイバーを用いた培養実験に着手している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肺胞上皮細胞の誘導については論文投稿中であるが、リバイスに多大な追加データを要求されており、確認の意味合いが強いため新規の大きな発見にはつながっていない。疾患特異的iPS細胞バンクについては、複数のiPS細胞を作成して順調であるが、正式な樹立の要件をみたす実験が多く、こちらはやや遅れている。これを用いた疾患研究は開始できている。動物への移植再生や工学的手法を用いた再生実験については技術的な改善が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
II型肺胞上皮細胞の誘導について三次元培養を用いたプロトコールを完成する。疾患特異的iPS細胞のバンクについては、上記疾患などで充実させることができる。また、これを用いた疾患研究、とくに薬剤スクリーニングや病態研究をすすすめる。動物への移植再生や工学的手法を用いた細胞培養実験の方向にウエイトをおいてすすめる。
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