研究概要 |
1.WNKキナーゼの生理的制御因子としてインスリンを同定した。前年度からWNKキナーゼの上流に存在するシグナル系を検索してきたが、蘇原らはインスリンが培養細胞系ならびに生体腎においてもWNK-OSR1/SPAK-NCCシグナル系を制御していることを示した(PLoS ONE,2011)。 2.WNK3の腎臓での役割をノックアウトマヴスを作成して解析した。WNK3はXenopus oocyteの実験系ではNCCの制御因子と言われてきたが、生体内での役割は不明であった。よって、我々はWNK3ノックアウトマウスを作成して、その役割を検討した。その結果、腎臓でのWNKキナーゼ活性に占めるWNK3の役割は、正常状態では少ないことが示された(Biology Open 2011)。 3.OSR1のコンディショナルKOマウスを作成し、腎内でのOSR1の役割を確定した(PNAS 2011)。 OSR1はglobal KOではホモで致死となるため、腎臓特異的にKOを作成し、腎臓では主としてヘンレの太い上行脚においてNKCC2を制御していることを示した。 4.蛍光相関分光法による、WNKキナーゼとOSR1/SPAKキナーゼとの結合阻害薬をスクリーニングし、有望なシード化合物を得、それに基づき構造修飾を行い、より阻害効果の高い化合物を得た。現在は細胞系、マウスにおけるinvivoの系においてその効果を検証中である。 5.AQP11BACトランスジェニックマウスを作成した。AQP11にはHAタグがついているので、それに対する抗体により、今まで生体内のAQP11を検出できる抗体がなく検討できなかった生体内でのAQP11蛋白の挙動をとらえられるようになった。
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