研究課題/領域番号 |
22249032
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
佐々木 成 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60170677)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 膜輸送体 / 腎臓 / ケミカルライブラリー |
研究概要 |
膜輸送体分子(主として腎臓に存在する)の異常による体液恒常性維持機構ならびに血圧維持機構の破綻について、輸送体分子の新しい制御機構を解明することで、それに基づいた治療手段を確立することを目的とする。対象とする輸送体分子は、主としてAQP水チャネル、CLCクロライドチャネル、SLC12A共輸送体ファミリーである。これらの輸送体の多くは、ヒトの病態と直に関わることを我々は明らかにしてきた。よって、そのような輸送体の制御は病気の治療と直に結びつくこととなる。そして制御機構の多くは、輸送体自体が他の蛋白と複合体を形成することで達成されていることも明らかになってきた。本研究では、この複合体形成を阻害するような化合物をスクリーニングし、新しいタイプの輸送体阻害薬を探し出し、この分野におけるアカデミアからの創薬を行う事を目的としている。 昨年度予定通り、WNK4とSPAKの結合を、蛍光相関分光法にてケミカルライブラリーのスクリーニングを行い、10種類のシード化合物を得た。今年度は、培養細胞を用いて、その毒性やWNK-OSR1/SPAK-NCCキナーゼカスケード阻害効果を確認し、最終的に2つの有望な可能物を得ることができた(投稿中)。CLCクロライドチャネルに関しては、CLC-Kチャネルの細胞膜への局在を制御するベータサブユニットであるバーチンにおいて、そのミスセンス変異体が小胞体に係留されることを防ぐ薬剤をスクリーニングし、いくつかのシード化合物を得る事ができたため、我々の作成した変異バーチン発現マウスに投与し、バーター症候群が改善されるかを検討した。その結果、免疫染色では障害されていた細胞形質膜への局在が明らかに改善されていた。SPAKキナーゼ阻害薬のスクリーニング系(ELISA系)を確立できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究経過で記したように、 1)WNKキナーゼシグナル阻害薬については、上記のように、すでに培養細胞レベルで有望なシード化合物を得ることができた。 2)ERに係留する変異バーチンをレスキューする化合物については、培養細胞レベルでその形質細胞膜への発現増強作用を確認できた薬剤を数種同定できたため、動物モデルにて検証した。その結果腎臓の尿細管細胞でも、形質膜への発現増強が確認された。 3)また、SPAKキナーゼ阻害薬のスクリーニング系も確立できた。 以上により、概ね順調に研究は進展していると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
1)WNKキナーゼシグナル阻害薬については、培養細胞レベルで有望なシード化合物を得ることができたため、これらのシード化合物に化学修飾を施し、動物レベルで効果を現すような薬剤を探索する。 2)変異バーチンをレスキューする化合物については、IV型バーター症候群動物モデルにて腎臓におけるバーター症候群と並行して現れる症状である難聴について検証する予定である。聴力は聴性脳幹電位により定量的に評価できるため、効果判定が尿細管での形質膜発現よりは評価しやすい可能性がある。 3)SPAKキナーゼ阻害薬のスクリーニング系も確立できたため、実際のケミカルライブラリースクリーニングを行う。
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