研究課題
膜輸送体分子(主として腎臓に存在する)の異常により、体液恒常性維持機構ならびに血圧維持機構が破綻し病態につながることは知られている。本研究では、膜輸送体分子の新しい制御機構を解明することで、それに基づいた治療手段を確立することを目的とする。対象とする膜輸送体分子は、主としてAQP水チャネル、CLCクロライドチャネル、SLC12A共輸送体ファミリーである。これらの輸送体の多くはその異常がヒトの病態と直に関わることを我々は明らかにしてきた。よって、そのような輸送体の制御機構の解明は病気の治療と直に結びつくこととなる。そしてそのような制御機構の多くは、輸送体自体が他の蛋白と複合体を形成することで達成されていることも明らかにしてきた。本研究では、この複合体形成を阻害するような化合物をスクリーニングし、新しいタイプの輸送体制御薬を探し出し、アカデミアからの創薬への道筋をつける。1)WNK-OSR1/SPAK結合阻害薬の開発。 WNK4とSPAKの結合阻害候補化合物を、蛍光相関分光法にてケミカルライブラリーのスクリーニングを行うことで同定し、その阻害効果を培養細胞を用いて確認し報告した(Biochem J 2013)。2)SPAKキナーゼ阻害薬の開発。約2万のケミカルライブラリーの1次スクリーニングも終了し、細胞培養系でのアッセイやマウス等における生体内での降圧効果を検証中である。3)CLCクロライドチャネルに関しては、CLC-Kチャネルの細胞膜への局在を制御するベータサブユニットであるバーチンにおいて、そのミスセンス変異体が小胞体に係留されることを防ぐ薬剤をスクリーニングし、17-AAGがバーチン変異ノックインマウスの難聴を軽減させる事を見いだした(BBRC 2013)。4)AQP水チャネルに関しては、AQP12の遺伝子欠損が嚢胞腎を引き起こす機序を明らかにし、報告した(J. Am. Soc, Nephrol. in press)。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Am. Soc. Nephrol
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