研究概要 |
この研究は、プリオン病感受性動物であるBank voleのPrP遺伝子を導入したトランスジェニックマウスモデルを作成中に、過剰発現のモデルにおいて10倍発現量では250日前後で、4倍発現量では500日前後で自然に神経症状を示し、組織学的に典型的なspongiform changes,gliosis,abnormal PrP沈着を呈するマウスを見出したことに端を発する。 今年度は、ノックインマウスであるKi-Bankvoleの樹立に成功し、感染実験を始めた。このノックインマウスの発現量は、マウスPrPの発現量と全く同じで、8個のアミノ酸だけがことなるBank vole PrPである。このKi-Bank voleの感染実験は、今年度から開始したのみであるが、非常に感受性が高いため短い潜伏期間で結果が出つつあり、非常によい動物モデルの樹立に成功しそうである。感染実験の中でも、驚いたのがヒトプリオンに対する感受性の高さである。Ki-Bank voleにマウスプリオンであるF1株を接種したところ、310日程度の潜伏期間が必要であったが、ヒトのMM1を接種したところ280日前後で発病が認められた。これは、げっ歯類PrPのモデルマウスでは信じられない感受性である。ちなみに、野生型マウスではヒトプリオンのMM1の潜伏期間は、600日以上必要であり、感染効率は20%に満たないという感受性の低さなのである。さらに、Bank voleのPrP分子を解析するため、N末端とC末端のみBank voleに変更したトランスジェニックマウスを作製を開始している
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