研究課題
Bank vole PrPを過剰発現させたトランスジェニックマウス(Tg-BvPrP)は、野生型に比べて10倍程度の高発現のマウスは250日前後で、5倍程度の高発現マウスでは400日前後で臨床症状を呈し、病理的には大脳皮質や基底核に海綿状変化を示し、異常型プリオン蛋白の沈着を認める。つまり、spontaneous prion diseaseのモデル動物として利用できる可能性を秘めていた。そこで、発病した脳を、野生型マウスやbank vole PrPを遺伝子導入したノックインマウス(Ki-BvPrP)を作製して、感染実験を行った。Tg-BvPrPの脳はいずれの動物に対しても感染性を示さないことが明らかとなった。つまり、Tg-BvPrPはプリオン病のモデルとしては不完全で、海綿状態と部分的な異常化を示したのみで異常型プリオン蛋白と呼べるものでないことが明らかとなった。予想外の展開をしめしたのはKi-BvPrPの感染実験である。まず、Ki-BvPrPは900日に近い観察期間でも自然発病することはなく、海綿状脳症を示すこともなかった。しかしながら、ヒト・プリオンの感染実験では、MM1はじめ硬膜移植後のアミロイド斑陽性の症例でも感染実験に成功した。また、動物プリオンの感染でもBSEなどに高い感受性をしめしているが、一番のハイライトはヒトのMM2C(コドン129Met/Metでタイプ2の異常プリオン蛋白をもつ皮質型CJD)の感染実験に成功したことである。MM2Cは、あらゆるヒト型の遺伝子導入マウスでも感染実験に成功せず、バイオアッセイが不可能なヒト・プリオンであった。しかし、Ki-BvPrPを用いることで今後MM2Cプリオンに対する滅菌法の開発などが飛躍的に進むことが可能となった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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