研究課題
平成22年度は、腫瘍性幹細胞解析のシステム構築と次世代ヒト細胞異種移植プラットホームの開発を進めた。まず、慢性骨髄性白血病と骨髄異形成症候群に関して、CD34陽性CD38陰性幹細胞分画の詳細な遺伝子発現データベースを構築した。このなかで、正常造血幹細胞と異なる活性化パターンを示すシグナルパスウェイや発現レベルの異なる遺伝子群を抽出する作業を進めた。次世代免疫不全マウス開発に関しては、C57/BL6バックグランドとすることで繁殖力の問題を解決し、かつIL-2Rγnu11-NOD/SCID(NOG)ラインを越える異種免疫寛容を獲得することを目指した。マクロファージ上に発現するSIRPAとそのリガンドであるCD47との結合は自己認識に重要な役割を担っているが、我々はNODライン特有の異種移植片寛容のメカニズムがSIRPA遺伝子多型にあることを突き止めた(Nat Immunol 8 ; 2007)。即ち、ヒトCD47とレシピエントマウスSIRPAの結合強化によりNODバックグラウンドを超える異種移植寛容の獲得が可能と考えられた。我々は、C57/BL6バックグランドでRag2およびIL2Rγを欠損したマウスに、NOD型SIRPA変異を導入した免疫不全マウスB6.Rag2nullIL2RγnullSIRPANOD/NOD(BRGS)ラインを樹立した。このBRGSマウスではT細胞のリークがなく、NOD型SIRPAを持つためにNOD/SCIDと比較して良好なヒト造血細胞生着が認められた。また、B6バックグラウンドであることの利点として、高い生存・繁殖力も確認された。このように、当初予定した平成22年度研究計画は遅滞なく達成された。
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