研究課題
In vitroでのB細胞分化能を評価するため、フィーダー細胞を用いずにCD34陽性造血幹細胞よりIgM陽性未熟B細胞まで分化する培養系を確立した。ヘルパー依存型アデノ.AAV.BTKベクターを感染させた正常ヒト男性臍帯血由来CD34陽性造血幹細胞を本培養系で培養し、ハイグロマイシンによる薬剤選択を行った。5週間の培養後、ハイグロマイシン耐性CD19陽性B細胞でBTK遺伝子へのターゲティングを認め、相同組換えCD34陽性細胞が造血前駆細胞のみならず、B細胞系への分化能を持つことを証明した。コロニーアッセイ法で得られた遺伝子導入造血前駆細胞コロニーでの、LAM-PCRによる遺伝子挿入部位の検討では、遺伝子内外ともに挿入が認められた。複数のコロニーで同一部位への挿入が認められ、遺伝子導入は非ランダムであると考えられた。現有のベクターはCMVプロモーター、ハイグロマイシン耐性遺伝子を搭載しているが、プロモーターのメチル化による発現低下や、薬剤選択が長期間必要であるという問題があった。そのため、新たに哺乳動物細胞内で恒常的な発現が得られるEF1プロモーター、および薬剤選択を短期間で行える利点のあるピューロマイシン耐性遺伝子を搭載したヘルパー依存型アデノ.AAVV.BTKベクターを作成した。iPS細胞を用いた研究では、骨髄線維芽細胞よりXLA患者由来iPs細胞株を樹立した。iPS細胞よりB細胞へ誘導する培養系の確立を目指し、現在検討を続けている。ヒト化XLAモデルマウスでは、BTK-cDNA搭載レンチウイルスベクターの改変を行い、遺伝子導入およびB細胞分化の検討を続けている。
2: おおむね順調に進展している
CD34陽性造血幹細胞でのターゲティングによる遺伝子修復能を証明し、その細胞がB細胞系へ分化しうることを示した。また、患者由来iPS細胞株を樹立した。更なる機能向上を目指し、新たなウイルスベクターを作成した。
新たに作成したヘルパー依存型アデノ.AAV.BTKウイルスベクターの機能を細胞株およびCD34陽性造血幹細胞を用いて検討する。iPS細胞からB細胞へ分化誘導する培養系を確立し、XLA患者由来iPS細胞へターゲティングによる遺伝子修復を行い、B細胞分化能を検討する。ヒト化XLAモデルマウスでは、引き続きレンチウイルスベクターを用いて遺伝子導入を行い、in viroでのB細胞分化、抗体産生能の検討を行う。
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J Clin Immunol
巻: 31 ページ: 309-314
巻: 31 ページ: 728-735
巻: 31 ページ: 968-976