研究課題/領域番号 |
22249043
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
原 寿郎 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40150445)
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研究分担者 |
高田 英俊 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70294931)
井原 健二 九州大学, 大学病院, 准教授 (80294932)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 遺伝子治療 |
研究概要 |
CD34陽性造血幹細胞よりIgM陽性未熟B細胞まで分化誘導するフィーダー細胞を用いない培養系に関し、より最適な培養条件を検討し、効率よくB細胞を誘導しうる培養系を確立した。本培養系を用い、BTK遺伝子へ相同組換えによりターゲティングされた造血幹細胞の、B細胞系への分化能を検討した。正常ヒト男性臍帯血由来CD34陽性造血幹細胞を培養し、ヘルパー依存型アデノ.AAV.BTKベクターを感染させ、ハイグロマイシンによる薬剤選択を行った。適切な薬剤選択条件を検討し、5週間の培養後、ハイグロマイシン耐性CD19陽性B細胞でBTK遺伝子へのターゲティングの成否を調べた。前年度は検体数がわずかであったため、今回複数の検体で検討し、BTK遺伝子へのターゲティングを証明した。これにより、相同組換えされたCD34陽性細胞が造血前駆細胞のみならず、B細胞系への分化能を持つことを証明し、本ベクターを用いた遺伝子修復により、B細胞系の分化停止を修復しうる可能性を示した。 また、相同組換え効率の改善を図るために、恒常的な発現制御が期待できるEF1プロモーターおよびピューロマイシン耐性遺伝子を搭載したヘルパー依存型アデノ.AAV.BTKベクターを作製したが、更なる効率向上を目指し最適なプロモーター、薬剤選択遺伝子を検討している。 iPS細胞を用いた研究では、正常ヒトiPS細胞株を用いて、iPS細胞よりB細胞へ誘導する培養系の確立を目指し、iPS細胞よりCD34陽性細胞を誘導し、その後CD34陽性造血幹細胞よりB細胞へ分化誘導する系を応用して現在検討中である。 ヒト化XLAモデルマウスでは、BTK-cDNA搭載レンチウイルスベクターの改変を行い、遺伝子導入およびB細胞分化の検討を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CD34陽性造血幹細胞でのターゲティングによる遺伝子修復能を証明し、その細胞がB細胞系へ分化しうることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
相同組換え効率の改善を図るために作製した、恒常的な発現制御が期待できるEF1プロモーターおよびピューロマイシン耐性遺伝子を搭載したヘルパー依存型アデノ.AAV.BTKベクターを用い、相同組換え頻度の向上が見られるかを検討する。臍帯血由来CD34陽性細胞と同様に、In vitroでフィーダー細胞を用いずにCD34陽性造血幹細胞よりB細胞系へ分化誘導研究を行い、分化能を評価するための培養系を確立する。 また、更なる効率上昇を目指し、改良型ヘルパー依存型アデノ.AAV.BTKベクターを作成する。具体的には、相同組み換え修復後の遺伝子配列の検出を考慮し、ベクターに搭載する遺伝子領域および配列を再検討する。最適な薬剤耐性遺伝子を搭載しin vitroでの遺伝子治療モデルの確立を目指す。 iPS細胞から造血幹細胞をへて、B細胞へ分化誘導する培養系を確立する。確立後、XLA患者由来iPS細胞へターゲティングによる遺伝子修復を行い、B細胞分化能を検討する。 ヒト化XLAモデルマウスでは、レンチウイルスベクターを用いてBTK遺伝子導入を行い、in vivoでのB細胞分化、抗体産生能の検討を行う。
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