研究課題
難聴の原因遺伝子はおおよそ100種類ぐらい存在すると考えられているが、従来の直接シークエンス法ではスループットが低いため、数個の遺伝子を解析するのが限界であり、遺伝子変異を検出できない例が多く認められる状況であった。本研究では、次世代シークエンサー(ゲノムシークエンサー)を用いることで、難聴の原因候補遺伝子の全塩基配列を決定し、網羅的に解析を行うことで、より診断率を向上させることを計画した。平成24年度は、前年度までに引き続き、難聴患者約200名を対象に難聴の原因遺伝子54遺伝子を含む112遺伝子の全エクソン領域をAgilent社のSureselectを用い候補遺伝子領域を含むDNA断片の濃縮を行い、シークエンス用のアダプターを付加した後に、次世代シークエンサーにより全塩基配列の決定を行なった。検出された遺伝子変異にお関してはサンガーシークエンスを用いた確認作業を行うとともに家系サンプルを用いた解析を行い、病的変異を多数同定した。現在までに200名の難聴患者の解析により、既に250カ所以上の新規変異を同定しており成果を取りまとめて論文として報告した。また、典型的な聴力像を有する難聴患者108家系を対象に同様の手法を用いて遺伝子解析を行い、遺伝子型と聴力型の間に相関が有る事を見出すとともに、従来日本人難聴患者から報告の無かった2遺伝子に関して難聴の原因を同定することができた。研究期間全体を通じて次世代シークエンサーを用いた網羅的遺伝子解析の有用性を明らかにすることができた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
Acta Otolaryngol.
巻: 132(4) ページ: 377-84
DOI:10.3109/00016489.2011.649493
PLoS One
巻: 7 ページ: e40366
doi: 10.1371/journal.pone.0040366.
J Hum Genet.
巻: 57 ページ: 587-92
doi: 10.1038/jhg.2012.73.
耳喉頭頸
巻: 84 ページ: 883-890