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2011 年度 実績報告書

敗血症病態に合併する蛋白異化病態の分子生化学的解明と遺伝子治療の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22249059
研究機関名古屋大学

研究代表者

松田 直之  名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50332466)

キーワード敗血症 / オートファジー / LC3 / siRNA / アポトーシス / 蛋白異化
研究概要

本研究は,感染症に起因する全身性炎症病態である敗血症において,蛋白異化亢進の機序としてオートファジーが亢進することを検証することを目的としている。本研究では,盲腸結紮穿孔による8-12週齢の雄性BALB-Cマウスを敗血症モデル動物とした。
敗血症病態の作成後,時系列で麻酔下に主要臓器を摘出し,オートファジー現象の程度を評価した。オートファジー現象は,light chain3 (LC3, ATG8)と融合したオートファゴソームが,最終的にリソソームと融合することにより誘導されるため,LC3蛋白の局在化とオートファゴソーム形成を免疫組織染色で評価した。肺,心房筋,腎臓,大動脈血管内皮細胞などにおいて,LC3のリソソームへの局在化やオートファゴソーム形成が時系列で高まることを確認した。
一方,敗血症の時系列のさまざまな臓器で,LC3 mRNAおよび蛋白量が増加し,さらに活性化されることを確認した。他のオートファジー関連蛋白に大きな量的変化を認めなかった。盲腸結紮穿孔術後3時間後にLC3 siRNAを投与したマウスの生存率を,siRNAを投与しない群,control scrambled siRNAを投与した群と比較した結果,LC3発現増加を抑制したsiRNAマウスの生存率は著明に改善した。さらに,このLC3レベルダウンにより,TUNEL染色陽性アポトーシス細胞が,肺,右心房,大動脈血管内皮細胞で減少した。
以上より,敗血症病態では,肺,心房筋,血管内皮細胞をはじめ,さまざまな臓器でLC3が活性化し,オートファジーが加速する可能性を検証した。敗血症病態では,オートファジーが加速するために,主要臓器の組織機能が障害される可能性がある.敗血症病態における肺などの主要臓器細胞で,オートファジーがアポトーシスに優先することも確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度のアミノ酸とタンスポータの機能解析に結びつけるまでの十分な研究基盤を得ることができている。

今後の研究の推進方策

敗血症病態にアミノ酸負荷をした場合に,それらのアミノ酸投与がオートファジーを抑制できるかどうかを検証し,さらにアミノ酸トランスポータの発現解析を行う。あわせて,LC3発現増加に関与する転写メカニズム,活性化メカニズムを,転写因子とリン酸化蛋白の同定として評価する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] STEP UP感染症性多臓器不全の病態と治療2012

    • 著者名/発表者名
      松田直之
    • 学会等名
      第39回日本集中治療医学会学術集会
    • 発表場所
      千葉(幕張メッセ)(招待講演)
    • 年月日
      2012-02-29
  • [図書] Targets in Gene Therapy2011

    • 著者名/発表者名
      Hattori Y, Matsuda N
    • 総ページ数
      409-422
    • 出版者
      InTech-Open Access Publisher

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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