研究課題
本研究では、侵襲時再生応答からみた新たな治療戦略として、血管内皮修復・再生効果をもつ細胞移植法を解明するために、以下の3点に目標を絞り実施した。①重症外傷、熱傷、敗血症、出血性ショックの異なる侵襲モデルにおいて、血管内皮傷害と骨髄機能を含めた血管内皮再生応答を経時的に評価する。②各侵襲モデルにおいて、血管内皮修復・再生治療として血管内皮前駆細胞、骨髄間質細胞、骨髄由来単核球細胞の血管内移植を行い、各細胞移植法の有効性(生存率など)を比較検討する。③特に、血管内皮における再生応答遺伝子の発現と各血管内細胞移植による変化をマイクロアレー法を用いて明らかにする。重症外傷、熱傷、敗血症、出血性ショックの各侵襲モデルにおける再生応答に関する研究を進め、各侵襲モデルにおいて有効性が期待できる経血管内細胞移植による各種再生治療が血管内皮の修復・再生を促進して臓器障害を軽減するか、生存率を改善するか、比較検討を進めた。その中で、敗血症に伴う多臓器障害モデルにおいて、骨髄間質細胞の血管内細胞移植が生存率を有意に改善することが明らかとなり、そのメカニズムを詳細に検討した。移植した骨髄間質細胞が、肺、肝臓、腎臓など各臓器に集積することを確認した。特に、骨髄間質細胞の劇的な抗炎症効果、臓器保護効果がどのように発揮されるのか、内皮細胞培養系における骨髄間質細胞移植の効果に注目し、共培養系を使った新しい評価を行った。その結果、骨髄間質細胞の細胞移植が血管内皮の活性化、障害マーカーの発現を抑制し、有意な血管皮保護作用を発揮することが判明した。また、多臓器障害発症時の再生応答遺伝子の発現に関する研究を進め、骨髄間質細胞の血管内移植群において、血管内皮および各臓器で発現の増強または低下する分子の解析を試みた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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