研究課題/領域番号 |
22249066
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
鎌田 伸之 広島大学, 大学院・医歯薬保健学研究院, 教授 (70242211)
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研究分担者 |
飛梅 圭 広島大学, 大学院・医歯薬保健学研究院, 准教授 (40350037)
小野 重弘 広島大学, 大学院・医歯薬保健学研究院, 助教 (70379882)
東川 晃一郎 広島大学, 大学病院, 講師 (80363084)
太田 耕司 広島大学, 大学病院, 助教 (20335681)
中川 貴之 広島大学, 大学病院, 病院助教 (30456230)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | EMT / 上皮間葉移行 / 口腔がん / がん微小環境 |
研究概要 |
上皮・間葉移行(Epithelial-Mesenchymal Transition : EMT)は、上皮細胞がその極性を失い、遊走能を持った間葉系細胞に変化する現象である。本研究においては、口腔扁平上皮癌におけるEMT誘導の機構を解明するとともに、EMTに伴って制御される個々の遺伝子産物の機能と発現の機構を検討し、口腔癌の高度悪性化の機構の解明と制御を明6かにすることを目指した研究を実施しており、本年度は以下の成果を得た。 前年度までにEMTに伴い発現亢進する遺伝子として見出したCyr61、Galectin-1がそれぞれ、がん細胞形質に及ぼす影響を重点的に解明した。Cyr61は単独ではEMTを誘導できないが、標的細胞におけるCyr61産生を誘導することができた。したがつて、E-cadherinによるホモフィリックな細胞間結合により集塊を形成するがん組織中に散発的に発生したEMT細胞はCyr61を分泌することにより、局所的な細胞集団がホモブイリックな細胞間結合を維持したまま運動浸潤する原動力となっていると考えられた。この知見は胞巣を形成して間質へ浸潤する浸潤開始部の病態を散発的に生じたEMT細胞が規定できることを示唆した Galectin-1はCyr61同様単独ではEMTを誘導できないが、ホモフイリックな細胞間結合を維持した細胞集団の運動および浸潤を飛躍的に亢進させたが、Cyr61とは異なり標的細胞に作用し自身の局所濃度を高める所見は得られなかった。しかしEMT誘導マスター遺伝子であるSnail依存性のEMT発生頻度はGalectin-1処理により飛躍的に亢進したことから、SnailによりEMTにコミツトされた細胞も細胞外環境により、可逆的にEMT形質を示すことが示唆された。
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